在宅介護は、愛情だけでは続きません。
93歳・要介護4の母を5年間自宅で介護してきて、私が一番強く感じたのは、
在宅介護は「気持ち」よりも「構造」で決まるということでした。
- 排泄ケアの負担
- 夜間対応の疲労
- 介護費用の不安
- 介護保険制度の複雑さ
- ショートステイへの罪悪感
どれも、精神論では解決しません。
でも、整えることで軽くなる部分は確実にあります。
このページでは、
- 排泄ケアをラクにする具体策
- 100均でできる時短と負担軽減
- 介護保険制度とお金の支援制度
- レスパイト・ショートステイの賢い使い方
- 在宅介護を“設計”で回す考え方
を、実体験ベースで整理します。
在宅介護の負担が増える本当の理由|「量」ではなく「構造」
在宅介護がしんどくなる理由は、介護量そのものよりも、
- 24時間気が抜けない
- 失敗できない緊張感
- お金の見通しが立たない
- 誰にも相談できない孤独
こうした“構造”にあります。
特に要介護4〜5になると、
- 排泄介助
- 夜間のトイレ対応
- 食事介助
- 認知症による記憶障害
が重なり、負担は一気に膨らみます。
だからこそ必要なのは、頑張ることではなく、整えること。
もし今、気持ちのほうが限界に近いと感じているなら、まずはこちらを先に読んでください。
排泄ケアをラクにする具体策|在宅介護の最大負担を軽くする
在宅介護で最も消耗しやすいのは、排泄ケアです。
排泄ケアが精神的にきつい理由
- 失敗への不安
- におい・汚れのストレス
- 時間に追われる感覚
- 夜間対応の睡眠不足
身体よりも、心が削られます。
排泄負担を減らす3つの具体策
① 動線を固定する
おむつ・パッド・ゴミ袋・防水シートを「ワンアクションで取れる位置」に固定。
探す時間=疲労です。
② “漏れない”ではなく“漏れても大丈夫”設計
- ペットシート
- 防水マット
- 使い捨て手袋
安心の余白があるだけで、イライラは減ります。
③ 福祉用具を積極的に使う
- ポータブルトイレ
- 手すり
- 立ち上がり補助具
「まだ使わなくていい」は、介護者側の我慢になりがちです。
▶ 排泄ケアをラクにする具体策まとめ
排泄ケアが精神的に限界に近いと感じたことがある方は、こちらの体験も参考になるかもしれません。
在宅介護で使える制度とサービスの全体像|介護保険の仕組みを整理
在宅介護の不安は、「何が使えるのか分からない」だけで一気に大きくなります。
制度は難しく見えますが、最初にやるべきことは“暗記”ではなく 全体像=地図を持つこと です。
この章では、在宅介護で関わる支援を 4つの層に分けて整理します。
(詳しい費用・限度額・戻ってくる制度は、次の章でまとめます)
まず押さえる4つの支援の層|介護保険・お金・外部サービス・環境整備
在宅介護で関わる仕組みは、大きく分けて次の4つです。
- 介護保険サービス(生活を回す土台)
- お金の支援制度(自己負担を軽くする)
- 介護保険外サービス(余白をつくる外部支援)
- 福祉用具・住宅改修(環境を整えて事故と負担を減らす)
ここから先は「使う順番」が大切です。
困ってから探すのではなく、崩れる前に先に組むのが現実的でした。
① 介護保険サービス|在宅介護を回す“土台”を作る
在宅介護を続けるうえで、介護保険サービスは「特別な人のため」ではありません。
在宅介護を壊さないための標準装備です。
代表的なサービスは次の通りです。
- 訪問介護(ヘルパー)
- デイサービス
- 訪問看護
- 福祉用具レンタル
- ショートステイ
ポイントは、限界になってから増やすのではなく、
「少しきつい」段階で入れること。
私はここを遅らせた分、夜間と排泄の負担が一気に積み上がりました。
② お金の支援制度|自己負担が増える前に“上限”を知る
在宅介護のお金の不安は、気合いでは消えません。
必要なのは「何が上限で、どこから軽減されるか」を知ることです。
在宅介護でよく関わる制度は、主に次の5つです。
- 高額介護サービス費制度
- 高額医療・高額介護合算療養費制度
- 住宅改修費(上限20万円)
- 特定福祉用具購入費
- 医療費控除
特に 高額介護サービス費制度は、知らないままサービスを減らしてしまう原因になりやすいので、早めに押さえておくと安心です。
③ 介護保険外サービス|「保険だけで回す」をやめるとラクになる
介護保険は便利ですが、保険だけで生活を回そうとすると限界が来ます。
そこで効くのが、介護保険外のサービスです。
- 家事代行
- 見守りサービス
- 配食サービス
- 民間レスパイトサービス
外部サービスを足すと、生活に “余白” が生まれます。
余白ができると、イライラや自己嫌悪が減り、介護が少し回りやすくなります。
④ 福祉用具・住宅改修|介護は“体”より先に環境でラクになる
在宅介護は、本人の状態だけでなく 家の環境で負担が変わります。
- 手すり設置
- 段差解消
- ポータブルトイレ
- 立ち上がり補助
- 介護ベッド など
「まだ使わなくていい」は、介護者側の我慢になりがちでした。
早めに環境を整えるほど、事故のリスクと夜間負担が下がります。
制度は“最後の手段”ではなく、在宅介護を続けるための設計ツール
在宅介護は、
排泄ケア/夜間対応/通院/家事/仕事との両立/お金の不安
が重なって、静かに崩れていきます。
だからこそ、
- 介護保険で土台を作る
- お金の制度で上限を作る
- 外部サービスで余白を作る
- 環境整備で事故と負担を減らす
この順番で「設計」すると、続けやすさが変わります。
もし今、制度が複雑で頭がいっぱいなら、まずは一つだけで大丈夫です。
“自己負担の上限を作る制度” から確認してみてください。
在宅介護のお金と支援制度の具体策|知らないと損をする制度
在宅介護の不安の多くは、「いくらかかるのか分からないこと」から生まれます。
介護は突然始まり、気づけば毎月じわじわと出費が増えていきます。
ここでは、
- 在宅介護の月額費用の目安
- 介護保険の限度額の仕組み
- 高額介護サービス費制度
- 必ず確認しておきたい支援制度
を、実体験をもとに整理します。
在宅介護の月額費用の目安と内訳
在宅介護では、主に次の費用がかかります。
- おむつ代
- 消耗品費(手袋・防水シートなど)
- 医療費
- 通院交通費
- 福祉用具レンタル費
- 介護サービス自己負担分
要介護4〜5の場合、自己負担1割でも
月2万〜5万円前後になることは珍しくありません。
さらに医療費や消耗品費、通院交通費などを含めると、
実質的な在宅介護費用は月5万〜8万円程度になるケースもあります。
在宅介護の費用は、要介護度・利用サービス・地域によって異なりますが、
「思っていたよりかかる」と感じる方は少なくありません。
まずは、今いくらかかっているのかを書き出してみてください。
見える化するだけで、不安は少し整理されます。
介護保険の限度額を超えそうな方へ
介護保険には「区分支給限度基準額」という上限があります。
要介護度ごとに、1か月に使えるサービスの目安額が決められています。
この上限を超えると、超過分は全額自己負担になります。
ですが、
限度額=サービスが使えなくなる
という意味ではありません。
まず確認してほしいのは、
- 本当に限度額いっぱいまで使っているか
- ケアプランの組み替えで調整できないか
- サービスの優先順位を整理できないか
ケアマネジャーは、この調整を行う専門職です。
「限度額が不安です」と、そのまま伝えて相談して大丈夫です。
高額介護サービス費制度とは?自己負担を軽減する仕組み
在宅介護で必ず知っておきたいのが、
高額介護サービス費制度です。
これは、1か月の自己負担額が一定額を超えた場合、超えた分が後から払い戻される制度です。
世帯所得によって上限額は異なりますが、「限度額を超えた=終わり」ではありません。
この制度を知らないまま、サービスを減らしてしまう方も少なくありません。
制度は、壊れてから使うものではなく、壊れる前に使うものです。
必ず確認したい支援制度一覧
在宅介護では、次の制度も確認しておきたいところです。
- 高額医療・高額介護合算療養費制度
- 住宅改修費(上限20万円)
- 特定福祉用具購入費
- 医療費控除
特に住宅改修費や福祉用具購入費は、早い段階で使うほど介護負担を軽くできます。
「知らなかった」が一番もったいない。
制度は、在宅介護を長く続けるための設計ツールです。
制度の詳細や具体的な申請方法については、こちらにまとめています。
▶ 在宅介護で使えるお金の支援制度まとめ|負担を軽くするために知っておきたいこと
ショートステイとレスパイト|在宅介護を壊さないための戦略
「ショートステイは限界になってから」
これは間違いでした。
レスパイトとは何か?
レスパイト=介護者の休息。
- ショートステイ
- デイサービス
- 訪問介護
は、本人のためだけではありません。
ショートステイを“休むため”に使っていい理由
- 睡眠不足の解消
- 夫婦関係のリセット
- 心の緊張の緩和
倒れてからでは遅い。
疲れすぎていると感じた方は、ケアマネージャーか地域包括センターにありのままの状況を相談しましょう。
▶ レスパイトケアとは?在宅介護で「休んでいい」と思える支援のしくみ
「休むこと」に強い罪悪感がある方は、まずこちらを読んでから考えてみてください。
100均活用術|介護費用を抑えながら時短する
在宅介護は思った以上にお金がかかります。
- 介護用品
- おむつ代
- 消耗品
- 医療費
だからこそ、100均は強い味方です。
実際に使ってよかった100均アイテム
- ペットシート(おむつ交換用)
- 小分け収納ケース(薬管理)
- 滑り止めマット(転倒防止)
- S字フック(動線整理)
- 使い捨て手袋
ポイントは、
代用できるものは100均
専門性が必要なものは正規用品
と分けること。
在宅介護で本当に役立った消耗品・便利グッズ
在宅介護は、消耗品との戦いでもあります。
- おむつ
- パッド
- 防水シート
- 手袋
- ペットシート
毎日使うものだからこそ、
「質」と「使いやすさ」で疲労度が大きく変わります。
私は最初、できるだけ安いものから高いものまで色々選んで試しました。
結果的に、安いものでもいいものもあれば、これは使えないと思うものもありました。
逆にこれは高いだけあるなと思うものもあれば」、安価なものとあまり変わらないと思うものもあり
基準チェックポイントは
- 漏れない
- ズレない
- 破れない
- においがあまり残らない
そのたびにやり直しになると、心がすり減るのでこの基準は自分の中で大切にしています。
在宅介護では、
安い=得ではなく、安心できる=負担が減る
なのだと、途中で気づきました。
排泄ケア用品は“ストレスを減らすもの”を選ぶ
特に違いが出たのは、排泄ケア用品です。
- 吸収量がしっかりあるパッド
- 横漏れしにくい形状
- 防水力の高いシーツ
- 破れにくい使い捨て手袋
「これなら大丈夫」という安心感があるだけで、夜間の緊張がまったく違います。
在宅介護では、失敗しないこと”よりも
“失敗しても大丈夫な設計”が大切だとつくづく思います。
実際に使ってよかった消耗品の考え方
私が意識している基準は3つです。
- 毎日使うものはケチらない
- 100均で代用できるものは代用する
- 「掃除が楽になるもの」は投資対象
例えば、
- ペットシートはおむつ交換時の下敷きに
- 防水マットは洗えるタイプに
- 手袋は薄すぎないものを選ぶ
こうした小さな違いが、積み重なると大きな差になります。
消耗品は“気持ちを守る道具”でもある
在宅介護では、
- 漏れた
- 汚れた
- においが残った
それだけで一気にイライラが爆発します。
でも、安心できる消耗品があると、「まあ大丈夫」と思える余白ができます。
その余白が、介護を続けるためのクッションになります。
在宅介護は、「感情」と「実務」の両方を整えることで初めて回ります。
もし今、気持ちのほうが限界に近いと感じているなら、まずはこちらを読んでください。
そして、実務を整える段階に入ったら、このページを保存して少しずつ試してください。
介護は一気に変えなくていい。
ひとつ整うと、次も整います。
在宅介護の負担を軽くする設計思考|仕組みで回す考え方
在宅介護をラクにするために必要なのは、
- 排泄の工夫
- 動線の整理
- 制度の活用
- 外部サービスの併用
- 介護者の休息
感情が限界のときは🟡へ。
実務を整えるときは🔵へ。
まとめ|在宅介護は“整えた分だけ”ラクになる
在宅介護は、
- 根性では回らない
- 愛情だけでは続かない
- 我慢すると崩れる
でも、構造を整えれば軽くなります。
- 排泄
- お金
- 制度
- ショートステイ
- 福祉用具
ひとつずつ整えていけば、在宅介護は「回る」ようになります。
ここが、あなたの在宅介護を整える拠点になりますように。
よくある質問(FAQ)
Q1. 100均グッズと介護専用品、どう使い分ければいいですか?
A. 基本は「安全性に直結するかどうか」で判断します。
衛生用品や収納グッズなどの消耗品は100均を上手に活用できます。一方で、体重がかかる手すりや移乗補助具などは、必ず正規の介護用品や福祉用具レンタルを利用してください。
在宅介護では“節約”よりも“事故を防ぐこと”が最優先です。
Q2. 介護保険の限度額を超えてしまいそうで不安です。
A. まずはケアマネジャーに相談し、サービスの優先順位を整理しましょう。
また「高額介護サービス費制度」を利用すれば、所得に応じて自己負担額が軽減される場合があります。
在宅介護は、制度を知らないことが最大の損失になることもあります。早めに確認しておくことが大切です。
Q3. 排泄ケアを少しでも楽にするための“最初の一歩”は何ですか?
A. まずは「動線の整理」です。
おむつ・パッド・ゴミ袋・防水シートなどを一箇所にまとめ、ワンアクションで手に取れる配置にすることを強くお勧めします。
探す時間が減るだけで、精神的な負担は驚くほど軽くなります。排泄ケアは“気合い”ではなく“設計”でラクになります。

