はじめに|介護をしていると、「休む」という選択が遠くなる
在宅介護を続けていると、「自分が休むこと」に、なぜか後ろめたさを感じてしまうことがあります。
「私がやらなきゃ」
「代わりがいないから」
「休むなんて、わがままかもしれない」
そう思って、気づけば心も体も限界に近づいている。
そんな介護者の方は、決して少なくありません。
レスパイトケアは、そんな介護者のために用意された
「休んでいい仕組み」です。
レスパイトケアとは?
レスパイトケアとは、在宅介護や育児の担い手が 一時的に介護から離れ、休息を取るための支援 です。
英語の respite(レスパイト)=休息 が語源で、介護される側を一時的にサービスへつなぐことで、
介護者の心と体を守ること を目的としています。
レスパイトケアは、「介護をやめるための制度」ではありません。
介護を続けるために、休むことを認める制度です。
レスパイトケアの大切な役割
① 介護者の休息とリフレッシュ
介護から一時的に離れることで、心身の疲れをリセットする時間が生まれます。
何もしない時間、眠る時間、自分の用事を済ませる時間。
それだけで、気持ちは驚くほど軽くなります。
② 介護を「続けられる」状態に保つ
介護は短距離走ではなく、長い道のりです。
無理を続けると、いずれ必ず限界がきます。
レスパイトケアは、介護者が倒れないための 予防的な支え でもあります。
③ 虐待・ネグレクトを防ぐ
疲労や孤立が続くと、自分でも気づかないうちに感情が追い詰められることがあります。
レスパイトケアは、介護者を守るだけでなく、介護される側を守る役割も担っています。
④ 介護される側にも、気分転換になる
介護される方にとっても、環境が変わったり、他の人と関わったりすることは、
良い刺激や気分転換につながる場合があります。
レスパイトケアの具体的なサービス例
- デイサービス 日中だけ施設で過ごしてもらう
- ショートステイ 数日〜数週間、施設に宿泊する
- 訪問介護・訪問看護 一部の介助を専門職に任せる
- レスパイト入院 医療的管理が必要な場合、短期間病院で預かってもらう
レスパイトケアは、介護保険適用サービス(要介護認定が必要)と、介護保険適用外(要介護認定なしでも利用可能)の両方があり、要介護認定がなくても、認知症カフェや民間サービス、医療保険適用となるレスパイト入院(条件あり)などを利用できますが、利用したいサービスの種類によって条件は異なります。
介護保険で利用できるレスパイトケアの主なサービスと費用
ケアマネジャーへの相談
介護保険のサービスは、担当のケアマネジャーに相談し、ケアプランに組み込んでもらうことが重要です。
要介護認定は絶対必要?
介護保険で利用できるレスパイトケアを受けるには、原則として要介護(要支援)認定が必要です。
費用
介護保険適用で1〜3割の自己負担となり、所得に応じて負担割合が変わります。自治体独自の補助制度もあります。
保険適用外のサービスや個室代・食事代は別途発生します。
レスパイト入院は医療保険適用で高額になりがちですが、福祉医療制度で負担軽減される場合もあります。
| デイサービス | ショートステイ | 訪問介護・訪問看護 | レスパイト入院 | |
| 対象者 | 要支援・要介護の方日中の見守りや軽介助が必要な方 | 要介護の方家族の一時的な休息が必要な場合 | 要支援・要介護の方在宅での介助・医療的ケアが必要な方 | 医療的管理が必要な方介護者の心身限界時 |
| 期間 | 日帰り(数時間) | 数日〜数週間 | 1回30分〜数時間(定期・不定期) | 数日〜2週間程度(病院による) |
| 金額 | 1回650円〜1,500円前後 | 1日1,000〜3,000円前後 | 1回数百円〜数千円 ✳︎訪問介護(ホームヘルパー)は早朝・深夜は割増。 | 1日5,000〜15,000円前後 |
自費サービス・その他
- 保険適用外サービス: 冠婚葬祭の付き添いなど、一部のサービスは全額自己負担(1時間数千円〜)。
- 注意点: 保険適用でも「無料」ではなく、生活費や追加費用がかかる点を確認しましょう。
費用を抑えるには
- ケアマネジャーに相談: 介護保険サービスを最大限活用する方法を相談しましょう。
- 福祉医療制度の確認: お住まいの自治体の福祉医療制度を確認しましょう。
相談窓口: 地域包括支援センターやケアマネジャー、各病院の地域連携室などで相談できます。
※厚生労働省の上記リンクで全国の地域包括センターが調べられます。
レスパイトケアを使ったほうがいい5つの場面
ケアマネジャーさんから教えてもらった「迷わず使っていいケース」を、気持ちの変化と一緒にまとめました。
① 介護の疲れが限界に近づいているとき
利用前の気持ち
「もう余裕がない」「誰にも言えない」
利用後の気持ち
「やっと息がつけた」「また向き合えそう」
② 病気や冠婚葬祭など、急に介護ができないとき
利用前
「どうしよう」「不安で落ち着かない」
利用後
「安心して用事に集中できた」
③ 仕事や社会とのつながりを保ちたいとき
利用前
「自分の人生が止まっている気がする」
利用後
「自分の時間を持てて、気持ちが前向きになった」
④ 老老介護で、体力に不安があるとき
利用前
「自分が倒れたらどうしよう」
利用後
「少し休めただけで、体も心も楽になった」
⑤ 入浴・排泄など、特に負担の大きい介助が続くとき
利用前
「もう限界」「誰か助けてほしい」
利用後
「全部を一人で背負わなくていいんだと分かった」
介護がつらいと感じたときの心の向き合い方については、
👉 介護者の心と体を守る生活ガイド(実体験から学んだ無理しない続け方)でも詳しく解説しています。
最後に|休むことは、介護をやめることではない
介護は、一人で抱え込むものではありません。
レスパイトケアは、「弱さ」ではなく、
介護を続けるための知恵です。
休んでいい。
頼っていい。
そう思えることが、介護の質を守ることにもつながります。
どうか、自分を後回しにしすぎないでくださいね。
レスパイトケアは、
在宅介護を「やめる」ためのものではなく、
無理をせず「続ける」ための選択肢のひとつです。
レスパイトケアを使うには、介護保険サービスの仕組みを知っておくことも大切です。 初めて介護保険を使う方向けに、申請から利用までの流れをまとめた記事はこちらです。
👉 介護保険サービスの使い方完全ガイド|初めてでも安心の申請・流れ・活用法
在宅介護を選んだときの相談先や、介護保険サービスの使い方、心構えについては、
こちらの記事で、最初の流れからまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. レスパイトケアは「疲れたから」という理由でも使っていいのですか?
A. はい、問題ありません。
レスパイトケアは、介護者が心身の疲れを感じたときに使うことを前提とした支援です。「限界になってから」ではなく、「これ以上無理をしないため」に利用することが大切だとされています。
Q2. レスパイトケアを使うと、介護を放棄していると思われませんか?
A. いいえ、そのようなことはありません。
レスパイトケアは、介護を続けるために休息を取る仕組みです。ケアマネジャーや支援者も「無理なく続けるための選択」として勧めています。

