在宅介護を続けていると、
「この状態が、あと何年続くんだろう」
「もし自分が倒れたら、この介護はどうなるんだろう」
そんな不安が、現実味を帯びてくる瞬間があります。
私自身、母の介護を続ける中で、
もう自宅だけでは支えきれないかもしれない
そう感じたことが何度もありました。
そんなとき、必ず候補として名前が挙がるのが
特別養護老人ホーム(特養)です。
「安い」「入りにくい」「待機が長い」
断片的なイメージはあっても、実際にどんな人のための施設なのかを
落ち着いて整理する機会は、意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、今は介護する立場、でも将来は介護される立場になるかもしれない、
そんな自分ごとの視点で、特養を整理しました。
この施設はどんな人が対象?
特養は、
常に介護が必要な高齢者のための生活施設です。
主な対象は、次のような方です。
- 原則 要介護3以上
- 日常生活の多くに介助が必要
- 在宅介護が困難な状態
- 医療は安定しているが、介護量が多い
「見守り」や「部分的な介助」ではなく、食事・排泄・入浴など、生活全体の介護が必要な方が対象になります。
元気な場合・病気になった場合も住み続けられる?
特養の大きな特徴は、終の住処(ついのすみか)としての役割です。
- 入所期限は原則なし
- 要介護度が上がっても住み続けられる
- 看取り対応をしている施設も多い
老健のように「在宅復帰前提」ではなく、生活の場として長く暮らすことを前提にしています。
ただし、
高度な医療(人工呼吸器・頻回な医療処置)が必要になると介護医療院や病院への転院が必要になる場合もある
という点は、理解しておく必要があります。
介護保険は使える?使えない?
特養は、
介護保険が使える公的施設です。
- 介護サービス費は介護保険適用
- 原則1〜3割負担
- 医療は必要に応じて医療保険併用
「施設に入ると全額自己負担になるのでは?」と不安に感じる方も多いですが、特養は 介護保険制度の中核的な施設 です。
入居一時金・月額費用の目安
特養は、公的施設のため入居一時金は不要です。
月額費用の目安は、
- 月額:8万〜15万円前後
- 所得・部屋タイプ(多床室/個室)で差あり
主に含まれるものは、
- 居住費
- 食費
- 介護サービス費
低所得の方には、負担限度額認定による軽減制度もあり、費用面では最も現実的な選択肢のひとつだと感じます。
実際の暮らしはどんな感じ?
特養での生活は、「介護を受けながら暮らす家」という位置づけです。
- 24時間介護スタッフが常駐
- 食事・入浴・排泄は基本的に介助あり
- レクリエーションや行事あり
- 外出・外泊は体調に応じて可能
最近は、
- ユニット型個室
- 家庭的な雰囲気
を重視する施設も増えいるようで、昔の大部屋で一斉介護という印象とは少しずつ変わってきているようです。
入居を考え始めたら、どこに相談すればいい?
特養は、申し込みから入所まで時間がかかる施設です。
相談・申し込みの窓口は、
- 市区町村の介護保険課
- 地域包括支援センター
- ケアマネジャー
- 施設への直接申し込み
「今すぐ入らなくてもいい」段階でも、早めに申し込みだけしておくという選択をする方も少なくありません。
この施設が向いている人・向いていない人
向いている人
- 要介護3以上で常時介護が必要な方
- 在宅介護が身体的・精神的に限界に近い場合
- 費用を抑えながら長く安心して暮らしたい方
- 最期まで見据えた住まいを探している方
向いていない人
- まだ比較的自立している方
- 医療的ケアが非常に多い方
- すぐに入所したい方(待機が長い)
在宅介護と比べて感じるメリット・デメリット
メリット
- 24時間介護がある安心感
- 家族の介護負担が大きく減る
- 長期的に暮らせる住まい
デメリット
- 入所待ちが長い
- 施設や居室を選びにくい
- 自宅のような自由度は低い
まとめ|特養を「早めに知っておく意味」
特養は、介護が限界になってから探す施設と思われがちです。
でも実際には、
- 申し込みから入所まで時間がかかる
- 状態が急変すると選択肢が狭まる
という現実があります。
だからこそ、まだ自宅で頑張れているうちに特養という選択肢を知っておくことが、在宅介護を続けるうえでの 心の保険 になると感じています。
特養は、家族が介護を放棄する場所ではなく、家族が壊れないために選ぶ場所。
そう考えると、少し見え方が変わってくる気がいたします。
この記事は、「自宅介護が限界になる前に、施設をどう考えるか」を整理した全体記事の中の一施設です。
他の介護施設との違いや、全体の中での位置づけについては、
「自宅介護が限界になる前に知っておきたい老人介護施設の種類と選び方で
まとめて整理しています。

