在宅介護で「家族介護慰労金」は本当に使える?要介護4・5の現実と制度の矛盾を調べてみた

高齢者と取り合う手
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在宅介護で耳にした「家族介護慰労金」という制度

「家族介護慰労金」という言葉を、私は最近まで知りませんでした。
要介護の家族を在宅で介護している人に対して、条件を満たせば自治体から支給されるお金がある。
そう聞いて、「本当にそんな制度があるの?」と半信半疑で調べ始めたのがきっかけです。

制度の趣旨だけを見ると、長期間にわたり在宅で介護を続けている家族をねぎらうもの。
介護をしている側としては、正直ありがたい話のはずでした。

けれど、条件を一つずつ確認していくうちに、どうしても引っかかる点がいくつも見えてきました。

家族介護慰労金の「介護を受ける人」の条件

家族介護慰労金の対象となるには、まず介護を受けている本人に、以下のような条件があります。

要介護4または要介護5 と認定されていること
過去1年間、介護保険サービスを一切利用していないこと
過去1年間に90日以上の入院をしていないこと

要介護4・5というのは、日常生活のほぼすべてに介助が必要な状態です。
この時点で、「本当にこの条件で在宅介護が成り立つのだろうか?」という疑問が湧いてきました。

介護をしている家族側に求められる条件

次に、介護をしている家族側の条件です。

過去1年間、要介護者と 同居 していること
過去1年間、在宅で介護を続けていること

つまり、ほぼ寝たきりに近い要介護4・5の家族を、
介護保険サービスを使わず、同居の家族だけで1年間介護する ことが前提になります。

現実の在宅介護を知っている方ほど、この条件がどれほど厳しいか、すぐに想像がつくと思います。

世帯全体に求められる条件と給付額

さらに、介護を受ける人・介護する人の両方に、次の条件が加わります。

過去1年間、同じ自治体に住民登録があること
市町村民税非課税世帯 であること

これらすべてを満たした場合、支給される金額は
年額およそ10万円〜12万円程度


決して大きな金額ではありませんが、介護をしている側にとっては、少しでも支えになるはずの金額です。

申請の流れ自体はシンプルだけれど…

申請の流れは、意外とシンプルです。

自治体に問い合わせ、申請書を受け取る
必要書類を提出
自治体職員による実態調査
支給決定通知と請求書が届く
請求書を返送すると指定口座に振り込み

ここまでを見ると、「条件さえ合えば申請すればいいだけ」に見えます。
でも、問題はやはり その条件そのもの でした。

要介護4・5で「介護サービスを使わない」現実

正直に言って、要介護4〜5の家族を、介護保険サービスを一切使わずに在宅で介護する
というのは、現実的ではないと私は感じました。

我が家の場合でも、訪問リハビリ、訪問入浴、福祉用具のレンタルなど、
介護保険サービスを利用して初めて、在宅介護が成り立っています。

もしこれらをすべて使わずに介護を続けるとしたら、
介護される本人にとっても、介護する家族にとっても、負担は計り知れません。

要介護4の母を在宅で介護する中で、
「制度はあるけれど、現実には使えない」と感じた場面は何度もありました。
実際の在宅介護の様子については、こちらの記事でも詳しく書いています。

 ▶ 退院後の在宅介護で感じた現実と不安

慰労金」という言葉に感じた違和感

制度の説明には
「家族介護慰労金は、介護保険サービスを利用していないことが条件」と書かれています。

でも、広辞苑で「慰労」を引くと、
なぐさめ、いたわり、苦労をねぎらうこと とあります。

介護保険サービスを利用していると対象外になる
それは本当に「ねぎらい」なのでしょうか。

むしろ、サービスを使わずに無理をしている家族だけが対象、
という考え方に、私は強い違和感を覚えました。

調べてみて感じた、正直な気持ち

「家族介護慰労金」を調べてみて、
正直な感想は 「現実と制度がかみ合っていない」 というものでした。

在宅介護は、気力だけでは続きません。
制度は、頑張りすぎている家族を追い込むものではなく、安心してサービスを使いながら続けられる形であってほしい。

この制度を知ったことで、「知らない制度を知る大切さ」と同時に、「制度をそのまま信じるのではなく、現実と照らし合わせて考える必要性」を強く感じました。

家族介護慰労金の条件を調べて感じたのは、 現実の在宅介護は、介護保険サービスを上手に使ってこそ続けられる ということでした。
初めて介護保険を使う方向けに、申請からサービス利用までの流れを 一つずつ整理した記事もあります。

 ▶︎ 介護保険サービスの使い方完全ガイド|初めてでも安心の申請・流れ・活用法

よくある質問(FAQ)

Q1. 家族介護慰労金は、要介護4・5なら誰でも受け取れる制度ですか?

A. いいえ、要介護4・5であっても、受け取れる方はかなり限られています。

制度上は、過去1年間に介護保険サービスを一切利用していないことや、90日以上の入院がないことなど、非常に厳しい条件が設定されています。

我が家でも在宅介護を続けていますが、現実的には介護サービスを使わずに1年間介護を続けることは難しく、条件を満たすのは容易ではないと感じました。

Q2. 在宅介護で介護サービスを利用すると、家族介護慰労金は対象外になりますか?

A. はい、多くの自治体では対象外になります。

家族介護慰労金は「介護保険サービスを利用していないこと」が条件とされているため、訪問介護や訪問リハビリ、福祉用具レンタルなどを利用している場合、支給対象にならないことがほとんどです。

在宅介護を無理なく続けるためにはサービスの利用が欠かせない場面も多く、制度と現実の間に大きなギャップを感じました。

高齢者と取り合う手

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90代の母を在宅介護する筆者

いとう よしみ

90代・要介護4の母を自宅で介護しながら、実体験をもとに
「無理をしない在宅介護の工夫」を記録・発信しています。

介護の現場で本当に役立った
介護保険サービスの使い方、在宅介護に便利なグッズ、
生活を少し楽に整える工夫を、体験ベースでわかりやすくまとめています。

同じ立場の家族介護者が、
「自分だけじゃない」と感じ、
少しでも気持ちを軽くできるような情報を大切にしています。

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