在宅介護という言葉を聞いたとき、
多くの人がまず思い浮かべるのは「自宅で介護をすること」「家族が世話をすること」ではないでしょうか。
私も、介護が始まる前はそうでした。
けれど実際に在宅介護を続ける中で感じたのは、在宅介護は単なる「介助の場所の違い」ではなく、暮らしそのものの組み替えだということです。
このページでは、
在宅介護の定義や制度的な説明にとどまらず、私自身の経験を通して見えてきた「在宅介護の全体像」を整理していきます。
これから在宅介護を考えている方にも、
すでに介護の真っただ中にいる方にも、
「今の状況を言葉にするヒント」になればうれしいです。
在宅介護とは「家で介護する」こと以上のもの
一般的に在宅介護とは、
介護が必要な家族を施設に入所させず、自宅で生活を続けながら介護を行うことを指します。
訪問介護、デイサービス、訪問看護などの介護サービスを利用しながら、本人が住み慣れた家で暮らし続けることが前提になります。
ただ、実際に在宅介護を始めてみると、
「介護をする時間」だけを切り取って考えることはできません。
- 起床や就寝のタイミング
- 食事の準備や後片付け
- トイレやおむつ交換
- 入浴や移動
- 夜間の見守り
これらすべてが、生活の流れの中に組み込まれていきます。
在宅介護とは、介護と生活の境目がなくなっていく状態だと、私は感じています。
介護が「特別な作業」ではなくなっていく感覚
介護を始めたばかりの頃は、
一つひとつの介助がとても大きな出来事に感じられました。
失敗しないように
間違えないように、
とにかく必死だった記憶があります。
けれど時間が経つにつれて、
介護は「特別なこと」ではなくなっていきました。
- 食事を用意すること
- トイレに付き添うこと
- 声をかけること
それらは家事と混ざり合い、
生活の一部として淡々と繰り返されていきます。
この感覚は、外から見ているだけではなかなか伝わりにくい部分かもしれません。
在宅介護は、イベント的に「介護をする」ものではなく、毎日の暮らしとして続いていくものなのだと思います。
在宅介護のメリット・デメリットは「表裏一体」
在宅介護には、よく語られるメリットとデメリットがあります。
たとえば、
- 住み慣れた家で過ごせる安心感
- 家族と一緒にいられる時間
- 本人の生活リズムを保ちやすいこと
一方で、
- 介護する側の負担
- 休みが取りづらい現実
- 精神的・身体的な疲労
これらは、どちらか一方だけを見るものではありません。
私自身、「良い面」だと感じていたことが、ある時期には大きな負担に変わることもありました。
逆に、大変だと思っていたことが、後から振り返ると意味のある時間だったと感じることもあります。
だからこそ、メリット・デメリットは切り離して考えるのではなく、
状況によって揺れ動くものとして捉えることが大切だと思っています。
メリット・デメリットの具体的な整理については、別ページで詳しくまとめています⬇︎
▶ 在宅介護のメリットとは?家で介護を続けて感じた5つの良さ【体験から】
▶ 在宅介護のデメリットとは?続ける中で感じた現実と、向き合い方【体験から】
在宅介護が「つらくなる」タイミングには理由がある
在宅介護がつらく感じられるようになるのは、決して「頑張りが足りないから」ではありません。
多くの場合、
- 介護量が増えた
- 生活動線が合っていない
- 一人で抱え込んでいる
- 制度やサービスを十分に使えていない
といった、構造的な理由があります。
私自身も、「もう少し頑張れば何とかなる」と思い続けた結果、心身ともに限界に近づいた経験があります。
そのときに必要だったのは、根性や我慢ではなく、暮らしと介護の組み立て直しでした。
在宅介護がつらくなってきたとき、必要だったのは「もっと頑張ること」ではなく、
暮らしと介護を少し組み替える視点でした。
私が実際に見直してきたことについては、別ページでまとめています。
▶ 在宅介護の負担を軽くする方法|一人で抱え込まないためにできること
在宅介護は「一人で完結させるものではない」
在宅介護という言葉は、どうしても「家族だけでやるもの」という印象を与えがちです。
けれど実際には、介護保険制度や地域のサービスを前提に成り立つ仕組みです。
- 訪問介護
- デイサービス
- 訪問看護
- 福祉用具
- ショートステイ
これらをどう組み合わせるかで、在宅介護のしんどさは大きく変わります。
「使えるものは使っていい」この感覚を持てるようになるまで、私自身にも時間がかかりました。
「介護を続ける人の生活」を守る視点
在宅介護では、どうしても介護される側に意識が向きがちです。
もちろん、それはとても大切なことです。
けれど同時に、介護を続ける人の生活が壊れてしまわないことも、同じくらい重要です。
- 眠れているか
- 食事をとれているか
- 外の空気を吸えているか
これらが崩れ始めると、在宅介護は一気に苦しくなります。
在宅介護は、
「誰かを支える暮らし」であると同時に、「自分の生活をどう保つか」という問いでもあります。
このページが伝えたいこと
このページは、「在宅介護の正解」を示すためのものではありません。
在宅介護は、家庭ごとに状況が違い、人の数だけ形があります。
ただ、在宅介護を「暮らしとして」捉え直すことで、少しだけ見え方が変わることがあります。
この先のページでは、
- 在宅介護のメリット・デメリット
- 負担を軽くする考え方
- 介護サービスの使い方
- 費用やお金の整理
- 介護を続ける人のセルフケア
について、それぞれ掘り下げてまとめています。
今のあなたに必要なところから、拾い読みしてもらえたら大丈夫です。
在宅介護は、一気に理解しなくていいものです。
今日を回し、明日を迎え、また少し調整していく。
そんな積み重ねの中に、「その人なりの在宅介護」が形作られていくのだと、私は感じています。

