冬は空気の乾燥や体温の低下によって、高齢者の嚥下機能が落ちやすく、誤嚥のリスクが高まる季節です。
私自身、母の介護を通して、「ほんの少しの工夫」で誤嚥の不安が減り、安全に食事を楽しめることを実感してきました。
この記事では、冬に特に気をつけたい誤嚥の兆候と、日常でできる予防の工夫、そして万が一のときに慌てないための基本的な対応についてまとめています。
必要以上に怖がらず、でも「知っておく」ことで、介護する側の安心にもつながれば嬉しいです。す。
冬に誤嚥リスクが高まりやすい理由
寒い時期は、
- 空気の乾燥で唾液が減りやすい
- 体が冷えて、喉や首まわりの動きが鈍くなる
- 水分摂取量が自然と減る
といった条件が重なります。
高齢になると、もともと飲み込む力や感覚が弱くなっているため、
「少し飲み込みにくそうだな」
「最近よく咳をするな」
と感じる場面が増えることも珍しくありません。
誤嚥のリスクと注意したい兆候
誤嚥とは、食べ物や飲み物が誤って気道に入ってしまうことを指します。
高齢者の場合、強くむせない「気づきにくい誤嚥」が起こることもあります。
特に次のような様子が見られるときは注意が必要です。
- 食事中や食後に咳が続く
- 声がガラガラする
- 食事に時間がかかる
- ぼんやりした様子になる
顔色が急に悪くなる、激しい咳が止まらない、意識がはっきりしないなどの症状がある場合は、迷わず救急要請を考える状況です。
万が一のときに知っておきたい応急対応
まず大切なのは、落ち着いて状況を見ることです。
咳が出ている場合は、無理に止めず、咳を続けられるよう見守ります。
✳︎高齢者や体力の弱い方の場合、無理に行わず、救急隊の指示を優先してください。
背部叩打法(はいぶこうだほう)

- 上体をやや前に傾ける
- 肩甲骨の間を、手のひらで数回しっかり叩く
腹部突き上げ法(ハイムリック法)

- 後ろから腕を回す
- へそより少し上を目安に、内側・上方向へ圧迫する
誤嚥性肺炎につながる可能性も
誤嚥が繰り返されると、誤嚥性肺炎につながることがあります。
食事中のむせが増えた、息切れしやすい、発熱が続くなどの変化があれば、早めに医師へ相談することが大切です。
私も、母がよく咳をするようになったとき、訪問医に相談しました。
その際に言われたのが、
「慌てず、様子をよく見ることが一番大切ですよ」
という言葉でした。
普段からできる誤嚥予防の工夫
食べ物・飲み物の工夫
- 一口量を少なめにする
- パサつく食材は避ける
- 必要に応じて、とろみをつける
食事環境を整える
- 背中を支えた安定した姿勢
- 食事中はテレビを消す
- 声かけはゆっくり、急かさない
嚥下・呼吸を助ける習慣
- 口をすぼめてゆっくり息を吐く
- 舌や口を動かす軽い体操
- 食前に少し体を温める
どれも、特別なことではありませんが、続けることで安心感が積み重なっていきます。
冬は誤嚥だけでなく、乾燥や冷えによる体調変化や事故のリスクも高まるため、暖房の使い方や室内環境の整え方についてもあわせて見直すことが大切です。
👉 在宅介護で気をつけたい暖房の使い方|高齢の母と冬を安全に過ごすための実体験
まとめ|「知っている」ことが安心につながる
冬は、乾燥や寒さの影響で誤嚥のリスクが高まりやすい季節です。
けれど、食事の形状や環境を整え、基本的な対応を知っておくだけで、不安はぐっと減ります。
もし窒息が疑われる場合は、迷わず救急要請を。
そして日常では、慌てず、急がせず、その人のペースを大切に。
介護する側も、される側も、「安心して食べられる時間」を守っていけますように。

