要介護4の在宅介護は、「できないことが増えたから手伝う」という段階をすでに超えています。
排泄、移動、入浴、食事、睡眠。
生活のほぼすべてが介護と直結し、生活そのものをどう組み立て直すかが問われる段階だと感じています。
私自身、要介護4の家族と暮らすなかで、最初は「もう少し頑張れば何とかなる」と思っていました。
けれど、日々の介助を積み重ねるうちに、睡眠不足や腰の痛みが慢性化し、「このままでは介護が続かない」という感覚が現実味を帯びてきました。
そこで必要だったのは、気合や努力ではなく、日常生活動作(ADL)を根本から見直すことでした。
ここでは、我が家で実際に行ってきた具体的なケアと環境整備についてお伝えします。
要介護4の在宅介護は「努力」では続かない
排泄・移動・入浴が同時に重くなる段階
要介護4になると、排泄・移動・入浴といった基本的な動作が、それぞれ単独で大変になるのではなく、同時に重くのしかかってくるようになります。
どれか一つを助ければ済むわけではなく、生活全体に常に介助が必要になります。
在宅介護では、その都度対応する形になりやすく、気づかないうちに介護者の負担が蓄積していきます。
介護者の体力と睡眠が先に限界を迎える
特につらかったのは、夜間の対応でした。
排泄介助のたびに起き、体を支え、また眠る。
この繰り返しで、介護者の体力と睡眠は確実に削られていきます。
「本人のため」と思って続けていたことが、結果的に自分を追い込んでいた。
その事実に気づいたとき、介護のやり方を変えなければならないと切実に思いました。
我が家が最初に見直したのは「排泄ケア」だった
夜間の排泄を“完璧にしない”と決めた理由
排泄介助は24時間体制になり、要介護4では避けて通れません。
我が家では、まず「夜間は完璧にしない」と決めました。
少量の排尿ごとに交換するのではなく、吸収量の多い夜間専用パッドを使用し、交換回数を減らす。
最初は抵抗がありましたが、介護者が眠れない状態では、翌日の介護そのものが成り立たないと感じたからです。
高吸収パッドと紙おむつの組み合わせ
昼と夜で使うパッドを分け、夜はとにかく吸収力を重視しました。
結果として夜間に起きる回数が減り、体力面だけでなく精神的な余裕も生まれました。
「少し楽になる」ことが、これほど大切だとは思っていませんでした。
陰部洗浄は「拭く」から「洗う」へ
排泄回数が多いと、どうしても皮膚トラブルが起きやすくなります。
市販の洗浄ボトルを使い、こすらずに洗い流すケアへ切り替えました。
拭き取る回数が減ったことで、赤みや湿疹が出にくくなり、ケアする側の心理的負担も軽くなりました。
排泄ケアを含め、在宅介護の中で役立った日々の工夫は、こちらにまとめています。
▶ 介護生活お役立ちメモ

排泄や入浴の介助が、どのように段階的に変化していくのかをまとめたページです。
▶ 在宅介護の排泄・入浴がつらくなったら|90代介護の段階別実体験ガイド

「持ち上げない介助」に切り替えてから生活が変わった
気合と根性の介助が体を壊す
以前は、無意識に自分の力で何とかしようとしていました。
ですが、腰や腕への負担が蓄積し、「このやり方では自分が先に倒れる」とはっきり感じるようになりました。
電動ベッドは“起き上がるため”だけの道具ではない
我が家では、電動ベッド(3モーター)を以前から購入して使用していました。
背上げ・足上げ・高さ調整ができるため、立ち上がり補助だけでなく、
食事時の誤嚥防止や体位変換にも役立っています。
特に、背上げ角度を細かく調整できることで、食事介助が格段に楽になりました。
レンタルでベッドを借りる際に気をつけたいことが1つあります。
訪問看護師さんやヘルパーさんがきた時にベッドの高さを変えられないととても不便なので
高さ調節ができるものをお勧めします。
体圧分散マットはレンタルで対応していた
ベッド本体は購入していたため、我が家では体圧を変えられるマットレスのみをレンタルしていました。
状態の変化に合わせてマットを選べる点は、レンタルならではのメリットです。
褥瘡予防だけでなく、寝返り介助の負担も軽減され、結果的に介護全体が安定しました。
移動・移乗は「持つ」から「滑らせる」発想へ
移乗が一番腰にくると気づいた
車椅子やトイレへの移乗は、短時間でも腰への負担が大きくなります。
ここを見直さずに介護を続けるのは、非常に危険だと感じました。
我が家ではレンタルで「つるベー」を導入しました。
私が腰が悪いため車椅子の移乗には欠かせません。
要介護4の在宅介護で、移動・移乗の負担をどう減らしたかについては、介護リフト「つるベー」を導入した実体験を別の記事でまとめています。
▶ 介護リフト「つるベー」で変わった在宅介護|退院後1か月の母の様子と日々の工夫

移乗ボード・スライディングシートを使ってみた結果
移乗ボードやスライディングシートを使うことで、持ち上げずに滑らせる移動が可能になりました。
なぜだか理由はわからないのですが、寝ていると母の身体が下にずれていってしまうのです。
初めは引っ張り上げておりましたが、私が転んで肋骨にひびが入り、引っ張り上げることができなくなった時にスライディングシートを購入しました。
使ってみましたらとても楽に母の身体を上に移動させることができ、慣れるまでは戸惑いましたが、私の身体への負担は明らかに減りました。
移乗ボードは、我が家では合いませんでしたが、友人はとても便利に使っているようです。
要介護4の「ある一日」|我が家の生活設計
朝〜昼の流れ
起床後は電動ベッドで背上げし、そのまま食事。
無理に移動させず、ベッドの端に私が腰を下ろし母と一緒に朝食をとっています。
毎朝、食事の風景と様子を息子たちと動画で共有しています。
昼〜夜の流れ
排泄ケアと休息を中心に、夜間は交換回数を最小限に。
「完璧」より「続く形」を優先しています。
要介護4の介護で一番大切だと感じたこと
守るべきは「本人」より「介護を続ける人の生活」
要介護4の介護で一番守るべきなのは、本人でも制度でもなく、毎日介護を続けている人の体と生活でした。
完璧な介護をやめて、続く介護へ
手を抜くことは、諦めではありません。
続けるために必要な選択です。
今日ひとつでも楽になる工夫ができたなら、それで十分だと思っています。
よくある質問(要介護4の在宅介護・日常生活動作について)
Q1.要介護4の在宅介護は、家族だけで本当に続けられるのでしょうか?
A.可能ではありますが、生活の組み立てを見直さないと非常に厳しいと感じています。
要介護4になると、排泄・移動・入浴などが同時に重くなり、気力や根性だけでは続きません。
様々なサービスや福祉用具を使い、介護者の睡眠と体力を守る設計に切り替えることが前提になると思います。ケアマネージャーに相談して介護者に無理のないケアプランを作ってもらうことが大切だと感じています。
Q2.夜間の排泄介助は、毎回きちんと交換した方がいいのでしょうか?
A.我が家では、夜間は完璧を目指さないと決めました。
吸収量の多い夜間用パッドを使い、交換回数を減らすことで、介護者の睡眠を確保しています。
介護者が眠れなくなると、翌日の介護自体が成り立たなくなるためです。ただ、お腹の調子が悪い時などは後でかぶれたりすると大変なのでまめに様子を見るようにしています。
Q3.排泄ケアによる皮膚トラブルを防ぐ方法はありますか?
A.拭き取る回数を減らし、「こすらず洗う」ケアに切り替えたことで、皮膚トラブルが起きにくくなりました。
市販の洗浄ボトルや無い時はペットボトル等にお湯を入れて、洗い流し、必要に応じて保湿を行うことで、赤みや湿疹の予防につながっています。
Q4.介助で一番体に負担がかかるのはどの場面ですか?
A.我が家では、移乗と夜間対応が特に負担でした。
車椅子やトイレへの移乗は短時間でも腰への負担が大きく、無理を続けると体を壊します。
Q5.電動ベッドは要介護4では必須でしょうか?
A.必須ではありませんが、介護を続けるためには非常に助けになります。
我が家では3モーターの電動ベッドを以前から購入しており、背上げ・足上げ・高さ調整を日常的に使っています。
立ち上がり補助だけでなく、食事時の誤嚥防止や体位変換にも役立っています。
Q6.介護ベッドは購入とレンタル、どちらが良いのでしょうか?
A.状態の変化に対応できる点では、レンタルの柔軟さは大きなメリットだと感じます。
我が家ではベッド本体は購入していたため、体圧を変えられるマットレスのみをレンタルしています。
必要な部分だけレンタルする選択肢もあります。
Q7.移乗介助を楽にする方法はありますか?
A.「持ち上げる」介助をやめ、滑らせる発想に切り替えることで負担が大きく減りました。
移乗ボードやスライディングシートを使うことで、腰への負担を抑えた移動が可能になります。
要介護4、5の移乗では、我が家のように60代が90代を介護しているような家庭には「つるベー」がとても役に立つのでお勧めです。
Q8.要介護4の介護で、一番大切なことは何だと思いますか?
A.一番大切なのは、介護を続ける人の体と生活を守ることだと感じています。
完璧な介護を目指すより、「続けられる形」を選ぶことが、結果的に本人の安定にもつながりました。
介護者が倒れたら自宅介護そのものが厳しくなるからです。
Q9.手を抜くことに罪悪感があります。どう考えればいいでしょうか?
A.手を抜くことは諦めではなく、介護を続けるための工夫だと思っています。
一部を緩めたことで、介護全体が安定し、心にも余裕が生まれました。
Q10.これから要介護4になるかもしれない家族に伝えたいことは?
A.早い段階で、
「無理をしない介護」
「道具に頼る介護」
「生活を設計し直す介護」
に切り替えておくことをおすすめします。
介護者が倒れないことが、在宅介護を続ける一番の土台になります。

