膀胱留置カテーテルの尿バッグが紫色になった日

紫色に変色した膀胱留置カテーテルの尿バッグ(紫色尿バッグ症候群)

在宅介護をしていると、
「これは大丈夫なのか」
「すぐに連絡すべきか」
判断に迷う場面が、突然やってきます。

その日も、まさにそんな瞬間でした。

目次

ある朝、尿バッグの色を見て凍りついた

いつものように尿バッグを確認したとき、私は一瞬、目を疑いました。

紫色。

はっきりと、見たことのない色に変わっていたのです。

「え……血尿?」
「こんな色、見たことがない」
「何か重大な異変が起きているんじゃないか」

頭の中が一気にざわつきました。

介護をしていると、
「変化に気づくこと」が大切だと分かっている分、
“見慣れない変化”は一気に不安を連れてきます。

その場で冷静に観察しよう、
落ち着こう、と思いながらも、
正直、心臓はバクバクしていました。

すぐに訪問看護師さんへ連絡

「これは放っておいていいものじゃない気がする」
そう感じて、私はすぐに訪問看護師さんに連絡しました。

電話口で状況を伝えながらも、頭の中では最悪のケースがぐるぐる回っていました。

  • 出血しているのでは
  • 何かに感染したのでは
  • もっと早く気づくべきだったのでは

介護をしていると、「自分の判断が遅れたらどうしよう」
という不安が、どうしてもついてきます。

「ああ、それですね」と言われて、拍子抜けした

ところが、私の説明を聞いた訪問看護師さんは、
とても落ち着いた声でこう言いました。

「ああ、それですね。
膀胱留置カテーテルの方では、よくある現象なんですよ」

一瞬、耳を疑いました。
「よく……ある?」

拍子抜けする気持ちと、まだ信じきれない気持ちが、入り混じりました。

尿の色が変わったわけではなかった

看護師さんから説明を受けて、私はようやく状況を理解しました。

紫色に見えていたのは、尿そのものの色ではなかったのです。
尿中の成分と細菌の働きによってできた色素が、
尿バッグやカテーテルのプラスチックに付着し、結果として紫色に見えていただけ

尿自体は、袋を通さずに見ると、
いつもと変わらない色だったそうです。
尿をあけた蓄尿バックは紫色に染まっていました

膀胱留置カテーテル使用中に紫色に変色した尿バッグの様子

「血尿ではありませんよ」
その一言で、体の力が一気に抜けました。

⚠ 尿バッグが紫色になっていても、慌てなくて大丈夫なことがあります

このとき私が一番驚いたのは、

尿バッグが紫色に見えていただけで、尿そのものの色が変わったわけではなかったということでした。

尿中の成分と細菌の反応によってできた色素が、尿バッグやカテーテルのプラスチック部分に付着し、結果として紫色に見えていたそうです。

膀胱留置カテーテルを使用している方では、このような変色は決して珍しい現象ではありません

見た目に強いインパクトがあるため、血尿や重大な異変だと感じてしまいがちですが、

発熱や痛みなどの症状がなければ、緊急性が高いケースは多くありません。

ただし、

便秘や水分不足、尿路感染が関係していることもあるため、

気づいたときは、訪問看護師さんや医師に相談し、生活やケアを見直すきっかけにしてみてください。

驚いて連絡したことは、決して間違いではありません。介護の中では、「確認する」ことが何より大切です。


紫色尿バッグ症候群という名前

この現象には、

「紫色尿バッグ症候群(PUBS)」

という名前があることも教えてもらいました。

慢性的な便秘や、軽い尿路感染が重なったときに起こりやすく、

膀胱カテーテルを使っている人では

決して珍しいものではない、ということ。

ただ、見た目のインパクトが強いので、

初めて見るとほとんどの人が驚くそうです。

……まさに、私でした。

「知らなかった」だけで、こんなに不安になる

後から思えば、私は何も悪い判断をしていません。
異変に気づき、専門職に連絡し、確認を取った。

でも、その最中の不安は、
決して小さなものではありませんでした。

「知らない」というだけで、人はここまで不安になるんだと、身をもって感じました。

慌てた自分を、責めなくていい

あとから、「よくあることですよ」と言われると、
少し恥ずかしくなる気持ちもありました。

でも今は、あのときの自分を責める気持ちはありません。

介護をしている立場では、“慌てるほど大切に思っている”
それだけのことだと思うからです。

同じように驚いた方へ

もし今、

尿バッグの色を見てドキッとした方がいたら。

どうか、一人で抱え込まず、訪問看護師さんや医療職に連絡してください。

そして、慌ててしまった自分を、どうか責めないでください。
私も、同じように驚き、同じように慌てました。

この現象は「見直しのサイン」でもある

紫色尿バッグ症候群は、
緊急性のある病気であることは多くありません。

けれど、便秘が続いていないか、
水分が足りているか、
清潔ケアが無理なくできているか。

生活全体を見直すきっかけにはなります。

「何も起きていないから大丈夫」ではなく、
「整えるタイミングだよ」というサイン。

そう受け取れるようになったのは、実際に経験したからだと思います。

まとめ|介護は、正解を知ることより「確認する力」

この出来事は、終末介護10か月目の、穏やかな日常の中で起きた一場面でした。 日々の暮らしや母との時間については、こちらの記事にまとめています。

 ▶ 終末介護10か月目の穏やかな日常と紫色尿バッグ症候群の体験

在宅介護は、すべてを知ってから始まるものではありません。

分からないことに出会い、
驚き、
確認し、
少しずつ「知っていく」。

その積み重ねで、介護は続いていくのだと思います。
あの日の紫色は、今では、私にとって「学びの色」になりました。

紫色に変色した膀胱留置カテーテルの尿バッグ(紫色尿バッグ症候群)

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90代の母を在宅介護する筆者

いとう よしみ

90代・要介護4の母を自宅で介護しながら、実体験をもとに
「無理をしない在宅介護の工夫」を記録・発信しています。

介護の現場で本当に役立った
介護保険サービスの使い方、在宅介護に便利なグッズ、
生活を少し楽に整える工夫を、体験ベースでわかりやすくまとめています。

同じ立場の家族介護者が、
「自分だけじゃない」と感じ、
少しでも気持ちを軽くできるような情報を大切にしています。

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