軟便ケアは、在宅介護の排泄ケアの中でも特に負担が大きく、正しい手順が求められる場面です。
便を広げない手順”と洗浄のコツ|軟便のおむつ交換を楽にする方法
在宅介護を続けていると、どうしても避けて通れないのが排泄介助。
中でも、軟便の日のおむつ交換は、介護する側の心にも体にも大きな負担がかかる作業です。
おむつを開けた瞬間に広がる便。
「早くきれいにしなきゃ」と焦ってしまい、気づけばシーツまで汚れてしまった…
そんな経験、きっと一度や二度ではないと思います。
私も、要介護4の母を自宅で介護して5年。
何度も失敗を重ねながら、少しずつ「楽になる順番」と「便を広げないコツ」がわかってきました。
この記事では、在宅介護者の目線で本当に役立った軟便ケアの方法を、できるだけやさしく、順を追ってお伝えします。
完璧じゃなくて大丈夫。
今日のおむつ交換が、ほんの少し楽になることを願って書いています。
軟便のおむつ交換で一番大切な考え方
軟便ケアで、まず覚えておきたいことはたった2つです。
- 便を広げないこと
- 慌てないこと
おむつを開けて軟便が広がっていると、
「すぐお湯で流したい!」と思ってしまいますよね。
でも、実はここが落とし穴です。
最初にお湯をかけてしまうと、便がさらに流れやすくなり、
皮膚のしわやシーツまで一気に広がってしまいます。
先に拭く、あとで洗う。
この順番を守るだけで、後片付けの大変さが本当に変わります。
軟便や便秘を繰り返している場合、
排泄ケアの手順だけでなく、日常の水分量が影響していることもあります。
特に冬場は、本人が気づかないまま水分不足になりやすいため、
我が家で意識している水分補給の工夫を別の記事にまとめています。
▶ 冬の高齢者におすすめの水分補給法|在宅介護で気づいた脱水対策
軟便の日こそ大切な事前準備
おむつ交換の途中で
「ティッシュがない」
「ゴミ袋が足りない」
と慌てて立ち上がるのは、事故のもと。
軟便の日は、少し多めの準備が安心です。
事前にそろえておきたいもの
- 新しいおむつ・パッド(2セット推奨。手がすべって汚してしまった経験からです)
- 使い捨て手袋(できれば二重)
- お尻拭き・トイレットペーパー
- 防水シート+ペットシート(何セットか準備)
- 大きめのゴミ袋
- 陰部洗浄用のボトル(100円ショップでもペットボトル代用でもOK)
- 泡タイプの石鹸・タオル
- 濡れおしぼり(できたら温めておく←我が家はレンジでチンしています)
「全部使わなくてもいい」
でも、「手元にある安心感」が介護する人の心を守ってくれます。
ティッシュやトイレットペーパーは、軟便の場合、1回の使用量を取りやすいように先に準備おくと便利です。
介助は声かけから始める
おむつ交換は、作業ではなく人と人とのやり取り。
「今からおむつ替えようね」
そう一言伝えるだけで、体の緊張が和らぎ、動かしやすくなります。
ベッドの高さを腰の位置まで上げ、必要な物品を手の届く場所にまとめてから始めましょう。
これだけで、腰や肩の負担がぐっと減ります。
便を広げないおむつ交換の基本手順
まずパジャマのズボンを膝まで下ろし、
お尻の下にペットシート(大きい場合は1枚、小さい場合は2枚)を差し込みます。
これが“防波堤”になります。
おむつは、勢いよく開かず、そっと中の状態を確認しながらテープを外します。
この時点で便が多そうなら、防波堤になるペットシートをもう一枚と手袋をもう一枚重ねると安心です。(二枚している場合は大丈夫)
①一番大切:洗う前に「拭く」
ここからが、いちばんのポイントです。
拭き取りのコツ
- 前から後ろへ(感染予防)
- 面を変えながら、常にきれいな部分で拭く
- 肛門まわりのしわは、指でやさしく広げて確認
目に見える汚れをある程度取ってから、初めて洗浄に進みます。
このひと手間が、後の作業を驚くほど楽にしてくれます。
仕上げにホットタオルで拭くとさっぱり感が増すようなので我が家ではお尻全体をホットタオルで拭いています。
②皮膚を守るための陰部洗浄の方法
拭き取りが終わったら、洗浄ボトルで仕上げます。
- 右手はボトル、左手は洗う手と決める
- 温度は人肌(38〜40度)
- 泡立てた石鹸で包むように洗う
洗い終わったら、タオルで押さえるように水分を取るのがコツ。
ゴシゴシこすらず、ポンポンと当てるだけで十分です。
③新しいおむつの当て方で漏れを防ぐ
汚れたおむつは内側に丸めてゴミ袋に入れ、
新しいおむつをお尻の下に差し込みます。
- ギャザーをしっかり立て、足の付け根に沿わせることで、横漏れが防げます。
- ウエストは指2本入るくらいの余裕がちょうどいいです。
軟便の日は、拭き方や洗い方だけでなく、おむつやパッドの当て方でも漏れやすさが大きく変わります。
⬇︎「きちんと当てたつもりなのに漏れる…」と感じている方へ

④交換後は皮膚チェックも忘れずに
陰部洗浄の時間は、皮膚を観察できる大切なタイミング。
- 赤くなっていないか
- 傷やただれはないか
- 出血はないか
気づいたことは記録し、必要があれば看護師さんへ。
小さな変化に気づけるのも、在宅介護の強みです。
我が家は軟便に混じった粘膜上の血液で大腸がんに気付けました。
まとめ:しんどいと思うのは、あなたが真剣だから
軟便のおむつ交換は、慣れても大変な作業です。
「今日もしんどかった」と感じるのは、手を抜いているからではありません。
それだけ一生懸命向き合っている証拠です。
- 準備を整える
- 拭いてから洗う
- 皮膚を観察する
この3つだけでも、明日の介護は少し楽になります。
完璧じゃなくていい。
あなたのペースで、続けていきましょう。
同じように悩んでいる人は、きっとたくさんいます。
よくある質問(軟便のおむつ交換について)
Q1. 軟便の日は、毎回陰部洗浄をした方がいいですか?
A. できる範囲で大丈夫です。
我が家の母はただれやすかったため、お湯で流すようにしていました。軟便は皮膚に残りやすいため、拭き取りだけではかぶれやすくなります。
可能な日は、拭き取ったあとにやさしく洗浄してあげると、皮膚トラブルの予防につながります。
ただし、体調がすぐれないときや時間がないときは、無理をしなくて大丈夫です。
Q2. 軟便のとき、お湯で先に流してしまうのはダメですか?
A. 先に拭き取る方が楽になります。
最初にお湯をかけると、便が広がりやすくなり、後片付けが大変になってしまいます。
先にティッシュやお尻拭きで拭いてから洗浄するだけで、作業がぐっと楽になります。
Q3. 手袋は二重にした方がいいのでしょうか?
A. 可能ならおすすめです。
一枚目が汚れたら外すだけで、すぐに次の作業に移れます。
私は、手袋の付け替えが減るだけで、気持ちの余裕が大きく変わりました。
Q4. 軟便が続くとき、皮膚トラブルを防ぐコツはありますか?
A. 洗いすぎない・拭きすぎないことが大切です。
洗浄後はしっかり水分を拭き取り、こすらず押さえるようにケアする方がいいと思いました。
赤みやただれに気づいたら、気になる場合は、看護師さんや医師に早めに相談するのがおすすめです。
Q5. 軟便に血が混じっている場合、どうしたらいいですか?
A. 迷わず医療職に相談してください。
我が家でも、軟便に混じった粘膜状の血液がきっかけで大腸がんに気づくことができました。
「いつもと違う」と感じたら、早めの相談が安心につながります。
Q6. 軟便のおむつ交換がつらく感じてしまいます…
A. それは、とても自然な気持ちです。
排泄介助は、身体的にも精神的にも負担の大きいケアです。
しんどいと感じるのは、真剣に向き合っている証拠。
一人で抱え込まず、訪問看護や介護サービスも、遠慮せず頼ってくださいね。

