自宅介護が限界になる前に知っておきたい
老人介護施設の種類と選び方を、体験者目線で整理しました
在宅介護を続けていると、ある日ふと、こんな不安がよぎることがあります。
「もし私が病気になったら、どうなるんだろう」
「この先も、ずっと自宅で介護を続けられるのかな」
最近、私の友人がまさにこの状況に直面しました。
自宅介護を頑張ってきたけれど、体力的にも精神的にも限界を感じ、
「施設を考えなきゃいけないかもしれない」と言い始めたのです。
その話を聞いたとき、これは決して“特別な人の話”ではないと感じました。
私自身も、在宅介護をしている身として、同じ立場になる可能性は十分にあるからです。
そこで今回は、「いざという時に慌てないために」
自分が調べるつもりで、老人介護施設を一から整理してみました。
介護施設は、まず「2つ」に分けて考える
介護施設と聞くと、特養、老健、サ高住、有料老人ホーム……
カタカナと専門用語ばかりで、正直混乱します。
でも最初に、大きく2つに分けて考えると、ぐっと分かりやすくなります。
- 入居型施設:施設に住み替えて生活する
- 在宅型サービス:自宅で暮らしながら支援を受ける
この記事では、自宅介護が難しくなったときに検討しやすい」
入居型施設について詳しく見ていきます。
入居型施設は「2つの軸」で整理すると理解しやすい
入居型施設は、全部で8種類ほどあります。
ですが、名前を丸暗記する必要はありません。
私が調べていて一番しっくりきたのが、この2つの軸で考える方法です。
- 公的施設か、民間施設か
- 介護保険が使えるかどうか
この視点で整理すると、
「何のための施設なのか」
「費用はどのくらいかかるのか」
が自然と見えてきます。
公的施設|費用は抑えめ、福祉目的の施設
公的施設は、国・自治体・社会福祉法人が運営しており、
介護が必要な高齢者を支えるための施設です。費用が比較的抑えられる反面、入居条件が厳しかったり、待機期間が長い場合もあります。
ケアハウス
比較的元気な高齢者向けの住まい。
見守りや生活支援が中心で、「完全な介護施設」というよりは支援付き住宅に近い存在です。
介護老人保健施設(老健)
退院後、すぐに自宅へ戻るのが難しい方向け。
リハビリを中心に、在宅復帰を目指すための施設です。
長期入所ではなく、期間限定での利用が基本になります。
介護医療院(介護療養型医療施設)
医療ケアと介護の両方が必要な方向け。
長期療養を前提とした施設で、病院と介護施設の中間のような位置づけです。
特別養護老人ホーム(特養)
要介護度が高く、在宅生活が難しい方向け。
費用面では最も現実的ですが、待機者が非常に多いのが現状です。
民間施設|「介護」か「住まい」かで役割が違う
民間施設は、サービス内容や設備に幅があり、その分、費用差も大きくなります。
介護付き有料老人ホーム
施設内で介護が完結するタイプ。
介護スタッフが常駐し、手厚い介護を求める人向けです。
住宅型有料老人ホーム
生活の場は施設、介護は外部サービスを利用する仕組み。
比較的自由度が高いのが特徴です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
高齢者向けの賃貸住宅に近い存在。
安否確認や生活相談が中心で、まだ介護が軽い段階の人向けです。
グループホーム
認知症の方が、少人数で共同生活を送る施設。
家庭的な雰囲気を大切にしています。
入居型老人介護施設8種類の比較表|役割・段階・費用を一覧で整理
― 自宅介護が限界になる前に「役割」と「段階」を整理 ―
介護施設は、「どれが一番いいか」ではなく
「今の状態に合っているか」「次の段階に移れるか」で考えると、混乱しにくくなります。
この比較表では、費用の高い・安いではなく、
・どんな暮らしになるのか
・どの段階で検討されることが多いのか
という視点で、入居型施設8種類を同じ目線で整理しました。
| 施設名 | 公的 / 民間 | 介護保険 | 主な役割・暮らし方 | 月額費用目安 | 入居条件 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ケアハウス | 公的 | 一部可 | 自立~軽介護向けの見守り付き住まい | 約 7〜15万円 | 原則60歳以上 | 一人暮らしが不安になってきた人 |
| 介護老人保健施設(老健) | 公的 | 可 | リハビリ中心・在宅復帰目的 | 約 8〜14万円 | 要介護1以上 | 退院後すぐ自宅に戻れない人 |
| 介護医療院 | 公的 | 可 | 医療+介護の長期療養 | 約 10〜18万円 | 医療管理が必要 | 医療ケアが常時必要な人 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 公的 | 可 | 生活介護中心・終身利用可 | 約 6〜13万円 | 原則要介護3以上 | 在宅介護が難しくなった人 |
| 介護付き有料老人ホーム | 民間 | 可 | 施設内で介護完結 | 約 18〜35万円 | 施設ごと | 手厚い介護を重視したい人 |
| 住宅型有料老人ホーム | 民間 | 外付け | 住まい+外部介護サービス | 約 15〜30万円 | 施設ごと | 自由度を保ちたい人 |
| サービス付き高齢者住宅(サ高住) | 民間 | 外付け | 高齢者向け賃貸+見守り | 約 12〜25万円 | 原則60歳以上 | まだ介護が軽い人 |
| グループホーム | 民間 | 可 | 認知症向け少人数共同生活 | 約 12〜18万円 | 要支援2・要介護 | 認知症があり家庭的環境が合う人 |
※ 比較表は「施設の優劣」を決めるものではありません。
※同じ施設種別でも、運営方針・受け入れ条件・費用は大きく異なります。
※公的施設は費用を抑えられる反面、待機期間が長い場合があります。
※民間施設は費用差が大きいため、見学時に「月額に含まれるもの」を必ず確認することが大切です。
※ 「最後まで住めるか」だけで判断すると、今の状態に合わない選択になることもあります。
施設選びでは、
・今の介護度
・家族の負担
・次に移れる選択肢があるか
も含めて考えることが大切だと感じました。
- ケアハウスとは?対象者・費用・入居条件
👉 「まだ元気だけど、一人暮らしが少し不安」な段階で検討される施設です - 介護老人保健施設(老健)
👉 退院後すぐ自宅が難しいときに使われる“在宅復帰のための通過施設”です - 介護医療院
👉 医療ケアが生活の中心になった段階で選ばれる長期療養型の施設です - 特別養護老人ホーム(特養)
👉 要介護度が高く、在宅生活が難しくなったときの公的な生活施設です - 介護付き有料老人ホーム
👉 待機せず、施設内で手厚い介護を受けたい場合に選ばれることが多い施設です - 住宅型有料老人ホーム
👉 自宅に近い暮らしを保ちつつ、必要な介護だけ外部で利用したい方向けです - サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
👉 介護が軽いうちから“将来に備える住まい”として検討されることが多い住宅です - グループホーム
👉 認知症があり、少人数の家庭的な環境が合う方に向いている施設です
どの段階で、どの施設を考える人が多いか(目安)
🔹 まだ比較的元気な段階
- ケアハウス
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
👉 一人暮らしや将来に不安が出てきたとき
🔹 在宅介護からの“中間段階”
- 介護老人保健施設(老健)
👉 退院後すぐ自宅に戻れないとき/一度立て直したいとき
🔹 介護や医療の負担が大きくなってきた段階
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護医療院
👉 在宅での生活が難しくなってきたとき
🔹 民間で柔軟な対応を求める場合
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- グループホーム(認知症の場合)
👉 待機せずに入居したい/環境や体制を重視したいとき
「どれを選ぶか」以前に、「いつ・どの段階で考えるか」に迷っている方は、
こちらの記事で判断の軸を整理しています。
👉 今は介護者、いつかは自分のために自宅介護が限界になる前に知っておきたい老人介護施設の選び方
費用・暮らし方・条件を比べる前に知っておきたいこと
施設選びで一番つらいのは、「急いで決めなければいけない状況」だと思います。
だからこそ、今すぐ入居する予定がなくても、全体像だけでも知っておくことが大切です。
- どんな暮らしになるのか
- 介護保険が使えるのか
- 毎月どれくらいかかるのか
- どんな人が対象なのか
この視点で見ていくと、施設選びは「決断」ではなく選択肢を知る作業に変わります。
各施設が向いている人を一言でまとめると
- ケアハウス:まだ元気だが、一人暮らしが不安な人
- 老健:退院後、在宅復帰を目指したい人
- 介護医療院:医療管理が欠かせない人
- 特養:要介護度が高く、在宅生活が難しい人
- 介護付き有料:介護の手厚さを最優先したい人
- 住宅型有料:住環境と自由度を重視したい人
- サ高住:見守りがあれば安心できる人
- グループホーム:認知症があり、家庭的な環境が合う人
まとめ|自宅介護が限界になったときの判断軸
自宅介護を続けていると、
「もう少し頑張れる気がする日」と
「このままで大丈夫だろうかと不安になる日」を、何度も行き来します。
その迷いは、とても自然なことです。
介護は、正解がひとつではありません。
私が在宅介護を続ける中で感じたのは、続けるか、施設を考えるかの判断は
「できる・できない」ではなく「安全に、無理なく続けられるかどうか」だということでした。
たとえば、
- 夜間の見守りで、介護する側が眠れなくなっている
- 転倒や誤嚥など、命に関わるリスクが増えてきた
- 介護者自身の体調や年齢に不安を感じ始めた
- 介護以外のことを考える余裕が、ほとんどなくなっている
こうした状態が重なってきたときは、「まだ我慢できるか」ではなく、
「このまま続けて、誰かが倒れないか」**を基準にしていいのだと思います。
施設を調べることや、選択肢を知ることは、介護を投げ出すことではありません。
大切な人と、自分自身の暮らしを守るための準備です。
元気なうちに情報を知っておくこと、「もしものときはここまで」と
自分なりの判断軸を持っておくことは、在宅介護を続けるための支えにもなります。
どんな選択をしても、それは「逃げ」ではなく、その時点でできる、いちばん誠実な判断です。
この記事が、同じように悩んでいる方にとって、少し立ち止まって考える材料になれば幸いです。
介護施設について調べ始めたとき、私自身が悩んだこと、迷ったことを、よくある質問としてまとめました。
よくある質問(介護施設を考え始めたときのFAQ)
Q1. 自宅介護がつらくなったら、すぐ施設を考えるべきでしょうか?
A.「もう限界かも」と感じた時点で、情報を集め始めること自体は、決して早すぎないと思います。
すぐに入居を決めなくても、施設の種類や費用感を知っておくだけで、気持ちに余裕が生まれます。
在宅介護を続けるための判断材料として、施設を知ることも大切な準備です。
Q2. 介護施設は、どこから調べればいいですか?
A.まずは「公的施設か民間施設か」「介護保険が使えるか」という2つの軸で整理すると、混乱しにくくなります。
そのうえで、自治体の窓口や、厚生労働省の介護サービス情報公開システムを使うと、条件に合う施設を探しやすくなります。
Q3. 費用が心配で、施設を考える勇気が出ません。
A.費用の不安は、多くの方が感じるものだと思います。
ただし、施設によっては介護保険が使える公的施設もあり、
在宅介護でかかっている費用(光熱費・消耗品・介護者の負担)を見直すと、結果的に大きな差が出ないケースもあります。
「高い・安い」だけでなく、何にお金を使っているかを整理して考えることが大切だと思っています。
Q4. 施設に入ると、家族は何もしなくてよくなりますか?
A.いいえ。施設に入っても、家族の役割がゼロになるわけではありません。
ただし、24時間の見守りや身体介護を一人で抱え込む状態からは離れられます。
「介護をする家族」から「関わる家族」へと、役割が変わると考えると近いかもしれません。
Q5. まだ元気なうちに、施設を調べるのは気が引けます。
A.元気なうちに調べておくからこそ、選択肢を落ち着いて比べることができます。
体調が急に変わったとき、慌てて決めるよりも、「ここなら大丈夫」と思える候補があるだけで、心の負担は大きく減ります。施設を調べることは、前向きな備えだと思います。
Q6. 最後は、何を基準に決めればいいのでしょうか?
A.一番大切なのは、本人と介護する側のどちらかが無理をしすぎていないかという視点ではないでしょうか。
「まだ頑張れるか」よりも、「安全に、穏やかに暮らせるか」を基準にしたいと思っています。

