在宅介護で迎えた、母九十三歳の誕生日
先月末、母が無事に九十三歳の誕生日を迎えることができました。
大きな節目を、こうして一緒に過ごせたことに、まずは心から感謝しています。
地元のケーキ屋さんにお願いしてショートケーキを用意したのですが、本人は「サヴァランが食べたい」とひと言。
それを聞いた息子が、急きょサヴァランを手配してくれました(笑)
ホールケーキとサヴァラン。
ひ孫たちと一緒にバースデーソングを歌い、ささやかですが温かな誕生日会になりました。
息子たちはお店の仕事があり、その場には長くいられませんでしたが、
前日の夜中、そして当日の朝にも顔を出して「おめでとう」を伝えてくれました。
母はそのたびに、何度も何度も嬉しそうに頷いていました。
退院から半年、少しずつ感じる変化
退院してから、まもなく半年が経とうとしています。
このまま穏やかな日々が続いてほしいと願いながらも、最近は、少しずつ変化を感じるようになりました。
- 食欲が以前より落ちてきたこと
- 眠っている時間が増えてきたこと
- 会話の量が少し減ってきたこと
劇的な変化ではありませんが、毎日一緒に過ごしているからこそ気づく、小さな変化です。
それでも、昭和のドラマを一緒に見たり、昔話をする時間は、今も大切にしています。
先日、十代の頃からの友人が、自分で育てた立派な八朔を送ってくれました。
そのまま食べたり、シロップ漬けにしたりして朝食に出すと、母は友人の名前をしっかり口にして、
「こんな立派な八朔を作るようになったなんて、大したものね」と、感心しきりでした。
昔のことは驚くほどよく覚えていて、ドラマに出てくる俳優さんの名前も、すらすら出てきます。
介護をしていると、「こんなこと、まだ覚えているんだ」と驚かされる瞬間がありますよね。
親友の緊急事態から考えた、介護者の健康
そんな中、先週、親友がくも膜下出血で倒れました。
突然の知らせに、言葉を失いました。
幸い意識は戻り、普通に会話ができると息子さんから連絡をもらい、胸をなで下ろしましたが、
同時に、介護者自身の健康管理の大切さを強く感じました。
彼女も、九十代のお母様を在宅で介護しています。
今年に入ってからは、施設入所の検討も始め、
見学に行ったり、準備を進めている最中でした。
そんな中での、突然のくも膜下出血。
介護は、いつも「待って」はくれません。
彼女のお母様は一人では置いておけないため、息子さんがケアマネジャーさんに相談し、
三月いっぱいはショートステイを利用することになりました。施設も、息子さんの家の近くへ変更し、
友人が回復後に探し直すことになったそうです。
老老介護の現実と、伝えたいこと
六十代を過ぎた私たちが、八十代・九十代の親を介護する。
いわゆる「老老介護」です。
介護の基本は、介護をする人が元気でいること。
- 定期的に休むこと
- 健康診断をきちんと受けること
- 一人で抱え込まず、周りに頼ること
これは、決して「弱さ」ではありません。
介護は、短距離走ではなく、長い道のりです。
続けるためには、自分の体と心を守ることが何より大切だと、改めて感じています。
おわりに
九十三歳の誕生日を迎えた母。
大きなことはできなくても、「今日も一緒にいられた」
それだけで、十分だと思える一日でした。
介護をしている皆さん、どうかご自身の体を大切にしてください。
一人で頑張りすぎず、ときには立ち止まりながら、支え合って歩いていけたらと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. 在宅介護中でも高齢の親の誕生日はお祝いできますか?
A. はい、外出が難しくても十分にお祝いできます。
好きなケーキを用意したり、家族で歌を歌ったりするだけでも、高齢の方にとっては大きな喜びになります。在宅介護では「特別なこと」より「安心できる日常の延長」が心に残るように感じています。
Q2. 高齢になると食欲が落ちてくるのは自然なことですか?
A. はい、加齢により食欲が低下することは珍しくありません。
量が減っても、好きなものを少しずつ取り入れたり、果物やデザートなど楽しみを残すことで、食べる意欲を支えることができます。
Q3. 会話が減ってきた親への接し方で気をつけることはありますか?
A. 無理に会話を引き出そうとせず、穏やかな時間を共有することが大切です。
テレビを一緒に見たり、昔の話を聞いたりするだけでも、安心感につながります。沈黙の時間も「一緒にいる時間」として大切にしています。
Q4. 老老介護になったとき、いちばん気をつけるべきことは何ですか?
A. 介護者自身の健康管理が最も重要です。
60代以上で80〜90代の親を介護するケースでは、無理をすると共倒れのリスクがあります。休息・通院・周囲への相談は「甘え」ではなく必要な備えです。
Q5. 介護者が体調を崩した場合、どう対応すればいいですか?
A. 早めに周囲や専門職に頼ることが大切です。
ケアマネジャーへの相談、ショートステイの利用、家族への連絡など、「もしもの時」の選択肢を普段から考えておくと安心です。
Q6. 介護中に友人や知人の急病が起きたとき、どう感じましたか?
A. 「介護者も倒れることがある」という現実を突きつけられました。
親を守るためにも、まず自分の体を守る必要があると強く感じています。介護は一人で背負うものではありません。
Q7. 在宅介護を長く続けるために大切な心構えは何ですか?
A. 「できることを、できる範囲で続ける」ことです。
完璧を目指さず、その日の体調や状況に合わせて柔軟に考えることで、心にも余裕が生まれます。

