はじめに|18歳の愛犬と、静かな時間を重ねる
わが家には、18歳になるブラックのトイプードルがいます。
名前はクロちゃん。人間で例えるなら、88歳くらいでしょうか。
昨年、もう一匹いたワイヤーフォックステリアを見送り、今はクロちゃん一匹だけになりました。
まだまだ元気ではありますが、最近は視力がずいぶん落ち、耳も遠くなってきたように感じます。
それでも、人の気配には相変わらず敏感で、起きているときはしっかり吠えて「そこにいるよ」と存在を主張します。
一方で、いったん眠ってしまうとまったく気づかないことも増えました。
息子が帰宅してリビングのドアを開けても反応せず、顔を近づけて「おい!」と声をかけられて、ようやく目を覚まし、しっぽを振って「おかえり」のポーズ。
その姿に、思わず笑ってしまいます。
空気を読む天才|年を重ねても変わらないクロちゃんらしさ
クロちゃんは、とても頭のいい犬です。
言葉の多くを理解していて、その場の空気を読む力は、昔から本当に天才的。
最近はお散歩の距離も短くなりました。
外に出てもすぐに方向転換し、玄関の前まで戻って「もうおうちがいい」と待っています。
体力が落ちてきたこともあるけれど、無理をしない、その判断もクロちゃんらしいなと感じています。
寝る場所が変わっても、寄り添う気持ちは変わらない
母は「クロちゃんと一緒にベッドで寝たい」と言っています。
でも、クロちゃんはもともと足が弱く、以前ベッドから降りるときに失敗して足を痛めてからは、ベッドに上がらなくなってしまいました。
今は、私が母のベッドの横に布団を敷いて寝ているので、クロちゃんは私の布団で一緒に眠っています。
夜中の0時を過ぎると、PCの前に座る私のまわりをくるくる回り、「そろそろ寝ようよ」と無言の催促。
それでも私が動かないと、ホットカーペットの上に移動し、こちらをじっと見つめながら、少し拗ねた顔をするのです(笑)
センサーマット事件|88歳(犬)も主張したい
ある日、母がデイサービスに出かけているのに、突然「ハイホー(呼び出し音)」が鳴りました。
慌てて母の部屋に行ってみると、そこにはセンサーマットの上にきちんとお座りしたクロちゃん。
こちらを真っ直ぐ見つめています。
「……ジャーキー?」
そう聞いた瞬間、クロちゃんは私の方へ一直線に突進してきました。
思わず大笑い。
「私も人間で言えば88歳なのよ。ちゃんと、かまってほしいの」
そんな声が聞こえてきた気がしました。
老犬介護も、ゆっくり一緒に
わが家の愛犬は、これで7匹目。みんな長生きしてくれて、クロちゃんにも「20歳」を目指してほしいと思っています。
今のところ、大きな病気はありません。
ただ、最近は乾いた咳をすることが増えてきて、心配しています。
おむつを使ったのは、これまでに一度だけ。それ以降は、ちゃんとトイレで用を足しています。
歩きながら漏らすこともなくなりました。
「まだ、自分でできる」その誇らしげな背中を見て、無理に手を出さず、見守ることの大切さを感じています。
介護の合間、膝の上のぬくもり
今、私はリビングのこたつの上にPCを置いて作業をしています。クロちゃんは、私の膝の上に乗り、テーブルに顎をちょこんと乗せて、うとうと。
ごはんも食べ終えて、「今日は何して遊ぼうか?」という顔。
犬の老いと向き合う日々のなかで、
人の介護と同じように「できなくなっていくこと」を受け止め、
今、クロちゃんに合った関わり方を探していく時間が増えました。
母の在宅介護を始めた頃も、何が正解かわからず、毎日が手探りでした。
在宅介護を始めた最初の一年に、私自身が感じたこと・戸惑ったこと・気づいたことを
まとめて書いた記事があります。
人でも、犬でも、「今の愛犬に合ったペースで寄り添うこと」の大切さは、同じなのかもしれません。
母の介護も、愛犬の介護も、どちらも特別なことではなく、日常の延長線にあるもの。
ゆっくり、静かに、今の時間を大切に重ねていきたいと思います。

