桜が教えてくれた「春が来た」という実感
昨日、母がデイサービスから帰ってくるなり、少し弾んだ声でこう言いました。
「今日ね、帰りの車で生田の河津桜並木を通ったの。満開で、とってもきれいだったわ」
去年は入院していて、桜を見る余裕もなかったことを思い出し、「今年は見られてよかったね」と声をかけると、母はうなずきながら
「桜を見ると、ああ春が来たなって思うわ」と、しみじみ。
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かがふっとほどけました。
四季を感じることは、心をリセットしてくれる
季節が巡るという当たり前のことが、実は心を整えてくれる大切な役割を持っている。
そんなことを、母のひと言で思い出しました。
忙しい毎日の中で、スーパーに並ぶ季節の飾りや旬の食材に目が留まり、思わず立ち止まることがあります。
季節を感じる方法はいろいろあるけれど、「食」から取り入れるのが一番身近で、無理がありません。
旬の食材は価格も手頃で、地元の野菜には作り手の顔が見える安心感もあります。
そして何より、季節の野菜は料理すると不思議と“華”がありますね。
去年は、季節を味わう余裕がなかった
去年は母が二度の大きな手術を受け、長い入院生活がありました。
私自身の仕事もタイトで、毎日を回すことに精一杯。
気づけば、季節を楽しむ余裕をほとんど持てずに一年が過ぎていました。
だからこそ、母の「桜を見ると春が来たって思う」という言葉が、胸に深く響いたのだと思います。
四季を感じることは、気持ちを前向きにするだけでなく、認知症予防にもつながる大切な刺激なのだと、改めて感じました。
家の中でも「季節」を感じられる工夫を
外出が減ると、どうしても気分転換の機会は少なくなります。
だから今年は、家の中に季節を取り入れることを意識してみようと思いました。
クッションカバーを春柄に変える。
衣類の入れ替えを少し早めにして、ウールのコートを綿麻素材に替える。
それだけでも、家の空気が少し軽くなります。
失敗から学んだ「四季イベント」という発想
以前、家の中でイベントをしようとして大失敗したことがあります(笑)。
シナリオを作り込みすぎたのが原因でした。
そこで今回は、ぐっとハードルを下げて「四季を感じるだけのイベント」に切り替えることに。
わが家のゆるい四季イベント案
- 1月:お正月
- 2月:節分・バレンタイン
- 3月:ひな祭り・お花見
- 4月:お花見
- 5月:母の日
- 6月:梅雨を楽しむ
- 7月:七夕
- 8月:お盆・花火
- 9月:敬老の日
- 10月:十五夜・ハロウィン
- 11月:ネットでお買い物・ボジョレーヌーヴォ
- 12月:クリスマス・年末
……気づけば、商品企画の仕事みたいな思考になっていました(笑)。
でも「感じるだけ」なら、きっと失敗しない気がします。
パンがくれる、母の小さな楽しみ
もともとパン好きだった母ですが、最近はますますパンが大好き。
デイサービスの日が週に三日あるおかげで、その時間に母の好きなパン屋さんへ行けるようになりました。
最近のお気に入りは、軽く焼いたトーストにバターとメープルシロップ。
「おいしいわねぇ」と言いながら食べる母の表情を見ると、
こういう小さな楽しみを積み重ねていくことが、日々を支えてくれるのだと感じます。
今日も、穏やかな一日
今日もとてもいい天気。
庭の物干しには、大の字になった洗濯物が風に揺れています。
介護の日々は慌ただしいけれど、
桜やパン、洗濯物の揺れに目を向けるだけで、心は少し軽くなる。
母と一緒に、こうした「季節のかけら」を大切にしながら、今年はゆっくり春を迎えていこうと思います。
在宅介護は、特別な出来事だけでなく、日々の中の小さな変化や気づきの積み重ねだと感じています。
うまくいった日も、戸惑った日も、そのときは必死で、後から振り返って気づくこともたくさんありました。
私が在宅介護を始めた頃に感じた不安や迷い、「どう向き合ってきたのか」をまとめた記録は、こちらの記事に書いています。
▶ 初めての在宅介護で気づいたこと|要介護4の母との記録

同じように在宅介護を続けている方の、心が少し軽くなるきっかけになれば嬉しいです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 在宅介護中でも、季節を楽しむことに意味はありますか?
A. はい、とても大きな意味があります。
外出の機会が減ると、どうしても毎日が単調になりがちですが、季節を感じることで気持ちが切り替わり、心に刺激が生まれます。桜を見たり、旬の食材を味わったりすることは、生活にリズムを取り戻すきっかけにもなります。母を見ていても、季節を感じた日の表情は明らかに違うと感じます。
Q2. 外出が難しい高齢者でも、季節を感じる方法はありますか?
A. 家の中でも、十分に季節は感じられます。
クッションカバーを替える、食卓に旬の食材を取り入れる、テレビで季節の風景を見るなど、小さな工夫で十分だと思うんです。大切なのは「完璧にやること」ではなく、少しでも季節の話題に触れ、話をすること。無理のない範囲で取り入れるのが長続きのコツです。
Q3. 季節を感じることは、認知症予防にもつながりますか?
A. はい、良い刺激になると言われています。
季節の変化を感じることは、記憶や感情を刺激するそうです。「去年はどうだったかな」「昔はね…」といった会話が自然に生まれることも多く、脳への良い刺激になります。母も桜をきっかけに、昔の思い出を話してくれることがありました。
Q4. 介護中に「楽しむ余裕」がなくて、罪悪感を感じてしまいます。
A. その気持ち、とても自然なことです。
介護をしていると、余裕のない時ありますよね。
介護で心に余裕を持つことは、思いの外難しいと感じました。
「面倒を見る」という感覚は捨てて、「一緒に乗り越える」と思うようになってから、私は楽になりました。
自分自身も気分転換を心がけ、一緒に楽しめることを前向きに見つけていくように努力しています。
自分自身の気分転換の時間も、介護を続けるためにとても大切な事だと感じています。
そう思えるようになるまでに、私も時間がかかりました。

