在宅介護で「お風呂」が不安になった日から
在宅介護を続けていると、ある日ふと「お風呂が怖い」と感じる瞬間がやってきます。
それまでは何とかできていた入浴介助も、足腰の弱りやふらつきが目立つようになると、
「転倒させてしまったらどうしよう」
「自分の力だけで支えきれるだろうか」
そんな不安が頭をよぎるようになりました。
私自身、要介護4の母を自宅で介護していますが、入浴は毎回、最も神経を使う時間でした。
だからこそ、入浴補助用品を取り入れることは「手抜き」ではなく、安全を守るための選択だったと、今ははっきり思っています。
在宅介護の入浴で起こりやすい3つのリスク
在宅介護の入浴には、特に次のようなリスクがあります。
- 浴室での転倒・滑落
- 立ち上がりや移動時のふらつき
- 介護者の腰や膝への負担
浴室は水で滑りやすく、狭い空間で体を支える必要があるため、高齢者だけでなく介護者側のケガのリスクも高い場所です。
「気をつけているつもり」だけでは防げない場面があるからこそ、
環境を整えることがとても大切だと感じました。
入浴補助用品を使い始めて変わったこと
入浴補助用品を使い始めて、一番大きく変わったのは気持ちの余裕でした。
- 「滑ったらどうしよう」という緊張が減った
- 毎回全身に力を入れなくてよくなった
- 母も「怖くない」と言ってくれるようになった
介護は、安心感があるだけで、驚くほど楽になります。
「できる・できない」ではなく、「安全に続けられるかどうか」を基準に考えるようになりました。
実際に使った在宅介護 入浴補助用品
高齢者が安全に入浴する為に考えられた補助用品です。
本記事では、在宅介護の現場で特に役立つ入浴補助用品の種類・特徴・選び方をわかりやすく解説します。介助者の負担を減らし、本人も安心して入浴できる環境を整えましょう。
バスボード|浴槽への出入りを安全にサポート
バスボードは、浴槽の縁に橋のように渡して使う補助用具で、座りながら安全に浴槽へ移動できます。浴槽をまたぐ動作は在宅介護の中でも最も転倒リスクが高く、足が上がらない高齢者にとって非常に危険です。バスボードを設置することで、座位のまま浴槽へ移れるため、安心感が大きく向上します。
座面は滑りにくい仕様で、座ったまま体を洗うことも可能。介助者にとっても支える動作が少なくなるため、腰への負担が軽減します。特に「浴槽またぎが怖い」「足が引っかかりやすくなった」という方におすすめです。
👉こんな方に最適:立ち上がり・またぎ動作が不安な高齢者
浴槽にまたぐ動作はもっとも転倒リスクが高いため、バスボードは在宅介護の現場では、安全を確保するための基本的な選択肢として考えられることが多いと感じています。
すべり止めお風呂マット|転倒防止に必須の安全アイテム
浴室は水で濡れやすく、高齢者にとって最も転倒しやすい場所です。すべり止めマットは床に吸着して固定され、立ち座りの動作を安定させてくれます。吸盤付き・抗菌仕様・速乾素材など、多くの安全機能が備わっており、浴室全体の安全性を大きく高めます。
筋力が低下して踏ん張りにくくなった高齢者や、介助中に片足立ちになることが多い場面で特に効果的です。小さな一枚のマットが、入浴事故を防ぐ大きな力になります。
👉浴室で最も多い事故は「滑りによる転倒」
特に高齢者は筋力低下により踏ん張りにくく、すべり止めマットの有無で安全性が大きく変わります。
シャワーチェア|座ったまま洗えるので介助がラクに
シャワーチェアは、座位を安定させたまま身体を洗ったり、浴室で過ごすためのいす型補助用品です。高齢者は立ったままの洗体が難しいことが多いため、シャワーチェアを使うことで転倒リスクを大幅に減らせます。
高さ調整ができるタイプや、背もたれ付きで安定するタイプは特に使いやすく、介助者が支える場面も減るため介助負担が軽減。浴室での時間が不安から安心に変わります。「最近ふらつきが増えた」「立ちっぱなしがつらい」方には必須ともいえるアイテムです。
👉立位が維持しにくい方には、シャワーチェアーがもっとも効果的
高さ調整が可能な椅子を選べば、姿勢が安定するため介助が非常にラクになり、洗体時の負担も軽減されます。
シャワー用車椅子|座位のまま移動・洗体が可能
シャワー用車椅子は、防水仕様の車椅子で、浴室内の移動から洗体までを座位のままスムーズに行える補助用品です。キャスター付きで動かせるため、寝たきりの方や立位が保てない方でも、無理なく安全に入浴できます。
排水穴のある座面や、防水素材のフレーム、安全ベルトなど、安全性と機能性が徹底されています。介助者は無理に持ち上げたりせず、負担なく洗体が可能です。在宅介護でも本格的な入浴ケアができるアイテムです。
👉寝たきりの方や麻痺のある方でも安全にシャワー浴ができる「シャワー用車椅子」。
防水仕様でサビに強く、キャスター付きなので浴室内の移動もスムーズです。
高さ調整付き浴槽手すり|立ち座りをしっかりサポート
浴槽手すりは、浴槽の縁に固定して使用する補助用具で、立ち上がりや座り込みの支えになります。握りやすいグリップや滑り止め加工、高さ調整機能があり、高齢者の身体機能や浴室環境に合わせて調整可能です。
「浴槽からの立ち上がりがつらい」「手を掛ける場所が欲しい」
そんな悩みに最適で、自立した入浴をサポートする効果もあります。設置も簡単で、工具不要のタイプが多く家庭で導入しやすいのもポイントです。
👉浴槽の縁に固定して使用する手すりは、立ち上がり動作を安定させるための必需品
特に高さ調節ができるタイプは、利用者の体形や浴槽の高さに合わせて使えるため安全性が向上します。
移乗台(踏み台)|浴槽への乗り移りをスムーズに
移乗台は、浴槽の外から内への移動をサポートする踏み台型補助用品です。高さを調整できるため、浴槽の縁の高さに合わせて使うだけで、軽い段差のようにして安全に移動できます。
滑り止め加工があるため安心して使用でき、バスボードと併用することで、さらにスムーズな動作が可能になります。「足が上がらない」「浴槽の高さが合わず怖い」という方には非常に効果的なアイテムです。
👉「浴槽に入る動作が怖い」「足が上がりにくい」という方に最適
移乗台は、浴槽の縁に座って体をスライドさせるため、負担が少なく安全に移動できます。
おすすめ入浴補助用品比較表
| 商品名 | 特徴 | 適した人 |
|---|---|---|
| バスボード | 浴槽に渡して座れる・滑り止め加工・出入りが安全 | 浴槽へのまたぎ動作が不安な高齢者 |
| すべり止めお風呂マット | 吸着力◎・抗菌素材・転倒防止に必須 | すべりやすい浴室での転倒対策をしたい人 |
| シャワーチェアー | 高さ調整・背もたれ付き・座位が安定 | 立位が不安定な方・座ったまま洗体したい人 |
| シャワー用車椅子 | 防水・キャスター付き・全身を座位で洗える | 寝たきりの方・麻痺がある方 |
| 高さ調節付浴槽手すり | 高さ調整・滑り止めグリップ・立ち上がりを補助 | 浴槽の出入りで支えが必要な人 |
| 移乗台 | スライド移動が安全・高さ調整・滑り止め加工 | 足が上がりにくい人・浴槽への乗り移りが不安な人 |
入浴補助用品の選び方|安全性と使いやすさで選ぶのがポイント
実際に使って感じた、選ぶ際のポイントです。
- 滑りにくさが十分か
- 掃除や手入れがしやすいか
- 設置が簡単か
- 体格や浴室サイズに合っているか
「介護用品だから安心」と思い込まず、レビューやサイズ、設置方法を必ず確認するようにしています。
入浴補助用品は種類が多く、どれを選べばいいか迷いやすいものです。とくに在宅介護では、浴室環境やご本人の身体状況に合わせて選ぶことで、安全性や使いやすさが大きく変わります。以下のポイントを押さえて選ぶと失敗しません。
① 本人の身体状況に何が必要かどうすればわかりますか?
- 足が上がらない → バスボード・移乗台
- 立ち座りが不安定 → シャワーチェア・浴槽手すり
- 立位保持が困難 → シャワー用車椅子
身体状況に合った用品を選ぶことで、入浴時の負担を大幅に軽減できます。
② 浴室が広くありませんけど大丈夫ですか?
家庭の浴室のサイズはさまざまです。今いろいろなサイズが購入できます。
無理のない範囲で揃えてみましょう。
- バスボードは浴槽の幅に合うか
- シャワーチェアは置くスペースがあるか
- すべり止めマットは床面にしっかり吸着するかなど、設置場所との相性がとても重要です。
③ 介助者が使いやすいものでいいですか?
在宅介護では介助者の姿勢や動線も大切です。
「無理な体勢で支えないといけない」用品は、腰痛や疲労につながってしまいます。
軽量で扱いやすいもの、移動しやすいものを選ぶと負担が減ります。
④ 取り付け・掃除・メンテナンスのしやすさは?
使いやすさは“継続できるかどうか”に直結します。
- 工具不要で取り付けできる
- カビが生えにくい素材
- 掃除が簡単
これらは在宅介護ではとても大切です。
⑤ 実際の利用者の声も参考になりますか?
Amazonや楽天では利用者のリアルな感想が多く、どんな人に合いやすいかがわかります。特に介護用品は「実際に使ってどうだったか」が信頼できます。
無理をしない選択も大切に
正直に言うと、「今日はお風呂が難しい」と感じる日もあります。
そんなときは、清拭や部分洗い、訪問入浴サービスに頼ることも選択肢です。
介護は、毎日100点を目指さなくていい。安全に、穏やかに続けられることが一番大切だと、
今はそう思っています。
👥 介護を続けるうえで何より大切なのは、介護者自身の心と体を守ること。
👉 介護者の心と体を守る生活ガイド(実体験から学んだ無理しない続け方)
排泄や入浴の介助は、その時の状態によって
「やり方」も「考え方」も少しずつ変わっていきます。
トイレ介助・ポータブルトイレ・おむつ介助・入浴の不安まで、
段階別にまとめた総合ガイドはこちらです。
👉 在宅介護の排泄・入浴がつらくなったら|90代介護の段階別実体験ガイド
まとめ|お風呂の不安は、環境で減らせる
在宅介護の入浴は、工夫と道具で「怖い時間」から「安心できる時間」に変えられます。
入浴補助用品は、介護する人とされる人、どちらを守るためのもの。
無理をせず、「これなら続けられる」と思える形を、少しずつ整えていきましょう。
入浴補助用品を取り入れることで、
“危険だった入浴”が “安心して行える入浴” に変わります。
私自身、母が浴槽から動けなくなった経験を通して、補助用品の重要性を痛感しました。安全対策を整えるだけで、介助者も本人も気持ちに余裕が生まれ、入浴の時間がより穏やかになります。
無理をしながら続けるのではなく、
補助用品やサービスをうまく活用して在宅介護をラクにすることは、決して「甘え」ではありません。
毎日の介護が少しでも安全で、やさしい時間になるように。
あなたの環境に合った入浴補助用品を、ぜひ取り入れてみてください。

よくある質問(FAQ)
Q1: 高齢者の入浴で最も多い事故は何ですか?
A: 高齢者の入浴で最も多い事故は、浴室内で滑って転倒することです。床や浴槽の縁は濡れやすく、筋力が低下していると踏ん張りがきかず、骨折につながるケースもあります。すべり止めマットや浴槽手すりなどの入浴補助用品を使うことで、転倒リスクを大きく減らすことができます。
Q2: バスボードと浴槽手すりはどちらを優先して使うべきですか?
A: 優先すべき入浴補助用品は、本人の身体状況によって異なります。浴槽の出入りやまたぎ動作が不安な場合はバスボード、立ち上がりや座り込みが不安定な場合は浴槽手すりが適しています。可能であれば両方を併用すると、入浴時の安定性と安全性が大きく向上します。
Q3: 入浴補助用品は介護保険で利用できますか?
A: 入浴補助用品の多くは介護保険の福祉用具貸与の対象外ですが、浴室への手すり設置などは住宅改修として介護保険が利用できる場合があります。利用可否は自治体によって異なるため、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談することをおすすめします。
Q4: 家庭の浴槽でも入浴補助用品は安全に使えますか?
A: 多くの入浴補助用品は家庭用浴槽に対応していますが、浴槽の幅や縁の厚み、段差によっては使用できない場合があります。購入前に浴槽サイズを測り、対応寸法を確認することが重要です。設置が簡単で調整可能なタイプを選ぶと、安全に使用しやすくなります。
Q5: 入浴中に動けなくなった経験から注意すべき点はありますか?
A: 入浴中は濡れた手すりが滑りやすく、本人が無理に立ち上がろうとして動けなくなることがあります。
浴槽内にも縦向きの手すりを設置すること、座ったまま向きを変えられるバスボードを使うこと、
入浴前に浴室を温めて体を冷やさないことが安全につながります。

