はじめに|突然の救急搬送は、ある日静かに始まりました
これは、母が急変し、救急車で病院へ搬送されたときの出来事を、当時の気持ちと状況をそのままに記録した記事です。在宅介護を続ける中では、「いつも通り」が突然崩れる瞬間があります。
この経験が、同じ立場の方の心構えや判断の参考になればと思い、残しています。
浮腫と息苦しさ、そして救急車を呼んだ夜
8月の後半から、母の足に浮腫が出始めていました。
次の診察まであと2日。
「そのときに診てもらおうね」と話していた矢先のことでした。
夕方になり、喉がヒューヒューと鳴り始め、
母が「息が苦しい」と訴えました。
迷っている余裕はなく、すぐに救急車を呼びました。
病院に着き、酸素吸入をしてもらうと、ひとまず呼吸は落ち着き、本人も「もう大丈夫」と言ってくれたため、翌日の外来受診を約束して一度帰宅しました。
明け方の再受診、そして「心不全」の診断
しかし、明け方5時半頃、再び息苦しさを訴えます。
急いで病院に連絡し、今度はタクシーで向かいました。
CT検査の結果は「即入院」。
診断は 心不全 でした。
その日の夜9時、病院から電話が入り、「ICUに入り、危篤状態です」と告げられました。
ICUで見た母の姿と、家族の祈り
ちょうど息子たちも仕事が休みの日で、皆連絡がつき、家族それぞれ急いで病院に集まりました。
酸素マスクをつけ、眠る母の姿を見たとき、「もうお別れが近いのかもしれない」
そんな考えが頭をよぎりました。
それでも、「早くよくなって、また家に帰ろうね」そう声をかけ続けました。
不思議なことに、翌日から少しずつ状態が改善し、ICUを10日で出ることができました。
治療方針の説明と、家族での話し合い
一般病棟に移る前の準備室に移り、面会は13〜17時の間で15分のみ。
会話も少なく、母はほとんど眠っている状態でした。
その後、主治医から現在の状況と今後の治療方針について説明がありました。
- 腎臓の機能がさらに低下している
- 肺に水が溜まっているため利尿剤が必要
- しかし利尿剤は腎臓に負担がかかる
このままでは 透析 という選択肢も出てきます。
ただ、母の年齢で週3回・3時間半の透析は現実的ではなく、入院生活が長期化する可能性が高いとのことでした。
「家に帰りたい」という母の気持ちを尊重して
先生と何度も話し合い、そして何より母自身の「家に帰りたい」という気持ちを受けて、在宅に戻る決断をしました。
現在は、尿道カテーテルを使用し、酸素発生器、床ずれ防止マットレスを導入。
食事も低たんぱく・低カリウム・低リン・高カロリー
塩分は1日3g、糖分は5g。正直、とても難しい食事管理です。
在宅に戻るための準備と、学びの日々
退院に向けて、
- おしっこの処理方法
- 効率的なおむつ交換
- 陰部洗浄の仕方
などを病院で教えていただき、現在猛勉強中です(笑)
「腎臓が悪い人の介護は本当に大変だな」と実感しています。
薄味で美味しく作ることの難しさも、日々試行錯誤です。
在宅介護を支えてくれる介護保険サービス
今回、改めて 介護保険のありがたさ を感じました。
- 看護師さんの訪問:1日1回
- ヘルパーさんの訪問:午前・午後
- 医師の訪問診療:週1回
- 訪問入浴:週2回
手厚いサポートに、心から感謝しています。
何気ない日常を、これからも一緒に
明日、母は退院します。「家に帰れる」と分かっただけで、驚くほど元気になり、家族も驚いています。
気の持ちようとは、本当に大きいものですね。
これからも、何の変哲もない穏やかな日常を、一緒に過ごすことを何より大切にしていきたいと思っています。
在宅介護を続ける中では、体調の急変や、
思いがけない選択を迫られる場面があります。
こうした経験を含めて、
在宅介護の体験と気づきをまとめた入口ページはこちらです。
▶ 在宅介護の体験と暮らしの記録
よくある質問(FAQ)
Q1. 高齢の家族が急に苦しそうになったとき、どう判断すればいいですか?
A.在宅介護中は「もう少し様子を見ようか」と迷う場面が多いですが、呼吸が苦しそう、喉が鳴る、顔色が急に変わるといった変化があれば、早めに医療につなぐことが大切だと実感しました。
結果的に「大したことがなかった」としても、迷ったまま時間を過ごすより、専門の判断を仰ぐことで気持ちも状況も落ち着くことがあります。「呼んでよかった」と思える選択は、決して間違いではありません。
Q2. 透析や入院ではなく、在宅介護を選ぶことに不安はありませんでしたか?
A.不安がなかったと言えば、嘘になります。
年齢や体への負担、今後の生活を考えると、どの選択が正解なのか分からず、何度も家族で話し合いました。
最終的には、本人の「家に帰りたい」という気持ちと、訪問看護や介護保険サービスという支えがあることが、在宅介護を選ぶ後押しになりました。
完璧な選択ではなくても、その時の家族と本人にとって納得できる道を選ぶことが、何より大切だと感じています。

